ひとくふう荘 (ページ8)

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ご飯かおやつかドンブリか？ページ8

僕は今、迷っています。

左には僕の大好きな煮干し載せた乾きカリカリご飯。
右にはささみ巻いた甘い干したおいも。

……どっちも好き。大好き…。

『ふっふっふ〜。さあ、どっちから食べる？』

ガヤさんがニタニタ笑いながら、お座りして迷ってる僕の前にしゃがんでます。
手には大きな黒いカメラ。

う〜ん、う〜ん、う〜ん！

僕はしばらく迷った挙句、煮干しを食べて、おいも食べて、ご飯を最後に食べることにした。

カシャカシャと音がしてるけど気にしない。
ガヤさんはお写真撮るのが趣味なんです。
僕もガヤさんと住み始めて半年くらいで、もう数え切れないくらいカシャカシャされたから、全然気にならなくなっちゃった。

ヨコオさんやセンガさんも、モシモシしたりテレビを見るカメラや黒いカメラで僕をカシャカシャしてはみんなで見せ合いっこ。

僕って《ふぉとじぇにっく》なんだって！

さっぱり意味は分かんないけど、美味しくはないと思う。

タマさんも時々カシャカシャしてるけど、大抵撮るのはミヤタさんと僕のツーショット。ミヤタさんはタマさんと僕のツーショット。
…むむ。僕をダシにしてお互いのお写真撮ってるんだよね、これって。

ハイハイ。ごちそうさま〜！

全くもぉ、なんでそんなに仲良しなのにもう一歩踏み出せないのかな？世話が焼けるなぁ。

で、こちらもお腹ぽんぽん。ごちそうさま。
結局、全部食べちゃった！

『ふっふっふ〜！かわゆいのう！美味しかった？』

最後は床に寝そべってまでカシャカシャしてたガヤさんが、食べ終わった僕の頭をナデナデして、新しいお水を汲んできてくれた。
いやはや、至れり尽くせりです。満足満足〜。

『ガヤ〜、お腹空いて倒れそう！』

あ、タマさん帰ってきた！
玄関じゃなくて、ベランダからおかえり。

白いワイシャツに黒いパンツ、黒いおっきなお帽子。金色の長い釘をくるんと巻いてお首に掛けて。今日も《しんぷるいずべすと》。
スタイルがモデルさん並にかっこいいから何でも似合うねって、いつも誰かに褒められてるんだよ！
でも、自分じゃなくて、誰かを服で幸せにするお仕事してるんだって。素敵だなぁ。

『えっ？食べてないの？…って、おかえり！ただいまは？』
『ただいま〜。ごめん、あまりにお腹減ってたから全部すっ飛ばしたわ。』

ガヤさん、ご挨拶にはうるさいの。あ、僕も必ずご飯の前に《お手とおかわりと待て》するけどね。