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『…あー、車で駅まで送るわ!』

『いや、助かる〜!ありがとぉっ!……あれ?宮田くんは??』
『ん?トイレか?ミヤ〜、羽間ちゃん帰るから送ってくる〜!…あら、いない??』

その時、車の音がまた聞こえた。この音はミヤタさんの車かな?
しばらくして、ミヤタさんが軽い足取りで下から上がってきた。


『羽間ちゃん、コレ。お土産持って帰って!』

あらま。いつの間にか、ハマさんの為にお土産買いにお出掛けしてたんだね!
多分駅の近くまで行ったみたい。綺麗な紙袋に入った…お菓子??前に甘いもの好きのセンガさんが買ってきてたオススメのお菓子だぁ。


『え…ミヤ、今、買いに行ってくれたの?』
『ん。せっかく西の地から来て、タマにすごくイイもの持って来てくれて。いや、俺には価値が分かんないけど釣り好きにはお宝なんでしょ?それに携帯の電源切ってたからタクシーまで使わせちゃったし。
このお菓子さ、うちの千賀さんがこの辺じゃ絶対1番って言うお店のなんだよね〜。良かったら!』

ハマさんは嬉しそうに紙袋を抱えてくれた。


『うわぁぁ…宮田くんはやっぱりええ人…。感動した。…俺も東京に転勤したらココに住みたいな。部屋空かへん?』

タマさんが笑って、首を横に振る。

『タマやんと同じ部屋でもええで。釣具置けたらなんぼでも…タマやんイケメンで清潔感あるし、ベッドもひとつでええ。永久に釣りの話できるやん。一緒に行けるし!』


その瞬間、ミヤタさんの顔が変わった。


今の今までニコニコニコニコ。
どんなお話にもニコニコして聞いてたミヤタさんが、急に無表情になったの!!
お口は笑ってるのに……お目目が…。


『…羽間ちゃ〜ん、俺が駅まで送るわ。』
『……み、宮田さん?俺が送るから…。』
『んにゃ、俺が送るよ。タマは俺の《嫁》だからね。《嫁》にとって大切な釣りの先輩だし、俺が責任持って送ってくるよ。』


おおぉ?さらりと爆弾発言を捻じ込んだよね、今。

タマさんとハマさんは呆気に取られている。

『よ、《嫁》???』

ハマさんが何か言うより早く、ミヤタさんが嘘の笑顔に拍車を掛ける。

『あ、そういう関係なんで。それ以上は訊かないで〜。』
『いやいやいや、なんでだよっ!?』

またもや何か言いたげなハマさんより早く、今度はタマさんがお声を上げた。

『《嫁》じゃねーしっ!』
『違うの?』
『まだ…だって、まだ…そんなこと…してないし。』

どんなことしてないのか??僕にもそれ以上訊かないでね?

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作者名:みあん | 作成日時:2021年10月3日 15時

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