7 ページ43
でね、僕の声を聞き付けて、タマさんが下から来てみたら、もう少しでお尻が地面にくっつくってとこで、僕がきゅんきゅん鳴いてて、びっくりしたけど笑っちゃったらしいの。
だってさぁ〜、下を見る余裕なんかなかったも〜んっ!てっきりスッゴく高い所にいるんだとばかり思ってたんだも〜んっ!!
恥ずかしい〜っ!
『だけどさ、クマの足跡あったのよ。しかもドンブリの足跡踏んでた。本当にクマに追い掛けられてたのかも。』
ニカさんが神妙な面持ちでアルミホイルをハサミで切りながら呟いた。
『ドンブリ危機一髪じゃん!マジ!?』
袋麺の焼きそばを作るガヤさんが、不安そうなお声。
『あのまま行ったら川なんだけど、上流の狭いとこだから急流なんだよなぁ。もし追い掛けられてたなら、あのままだと川に落ちて流されてたか、川の手前で止まって追い付かれて…。まあ、この時期クマも山にエサはあるほうだからさ、食べられないけど怪我はしてたかも。』
じゃあ、あそこで落ちて良かったんだ、僕。
助かった〜!落ちたけど、落ちてないし。
『とにかく、受付には電話して足跡のことは知らせたし、オオカミの尿を四方にぶら下げてきた。』
『…今は聞きたくなかった。』
タマさん、お顔がしわくちゃ。
『森の動物界の頂点に君臨するのはオオカミなのよ。だから、クマや猛獣避けに売られてるの。』
『早く吊り下げといてよ〜!』
『いやいや、ガヤ?あなたがメシ食ってからにしろって言ったのよ!』
ガヤさんがぷくぅっとほっぺたを膨らませる。
ま、確かになかなかの匂いでした。さすが森の王様!!
『はい、オシッコの話題は終わりっ!肉焼けたから。まずはドンブリからね?宮田さん、冷ましてあげて。』
『は〜い…大冒険だったね、ドンブリ。無事で良かったわ!さあ、たんとお食べ〜!』
ミヤタさんの膝から降ろされた僕の前には、ふうふうして冷ましてくれたお肉が山盛り!
その上から、更にニカさんが厚いお肉を載っけてくれた。
『ローストビーフの端っこどうぞ!』
きゃあ!人生、いや、犬生最高の日かもっ!!
僕がお肉にがっつくのを見ながら、タマさんがニカさんのお料理を褒めている。
『ローストビーフすごくない?』
『おうっ!これくらい《おっちゃんの子カイカイ》だぜっ!!』
……センガさんのモノスゴイノリツッコミ見たかったなぁ…。
頭の片隅でそんなことを思いながら、僕は夢中でお肉に齧り付いた。
お父さん?キャンプって美味しいよぉっ!
fin.
80人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みあん | 作成日時:2021年10月3日 15時