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『今日はお昼ご飯と夕ご飯兼用でいっか…ったく、キャンプの醍醐味がないわ〜。』
『ソロキャンとファミキャンはまた違うよな。ソロキャンて3分の1はサバイバルでしょ?ところでニカのメイン食材は?』
『釣りするから魚っ!…と、言いたいとこだけど、ここの川は流れが強くて釣りにはちょっとね。だからローストビーフ作ってやるよ。美味いよっ!』
『いいじゃんかぁ!楽しみだわ。』


普段ミヤタさんはタマさんに独占されがちだけど、実はみんなと満遍なく話すし、明るい人当たりの良さで、少しお疲れの雰囲気もガラリと変える力のある人。タマさんがいない時には、話し相手としての争奪戦が始まる時もあるんだよね。
ニカさんは、いつもは独立意識が強いんだけど、本当は甘えんぼさんだから、今日はガヤさんとミヤタさん、お兄ちゃん2人と話せて嬉しいね。


『杉の葉は油分含むから着火剤並に燃えやすいのよ。拾いながら歩いて?』
『枝はどれでもいいの?』
『ん…なるべく水分抜けてるやつ。』



ガサっ…。

僕のお耳が気配を感じた。背中の毛とたてがみがピリリッと逆立つ。

……いる。


『ぅーーーがうんっっ!!』

僕はできるだけ大きく吠えた。怖いけど2人を守らなきゃ!

どなたか存じませんが、あっちへ行って!でないと、僕、噛み付くよっっ!!


『ドンブリ?な、何?』
『……この吠え方、何かいたりする??とりあえず一旦テントに戻ろうか。小雨も降ってきたし、水は後にしよう、ニカ。』
『了解…ま、実は俺もペットボトル持ってきてるんだけどね!』
『あるんかーい!』


多分、おっきな生き物。ドングリと柿とお肉の匂い。雑食。息の音が大きかったから、僕よりおっきい。

人間は大丈夫かな?人間に慣れてない生き物は普通は、自分から近寄ってくることはないよ?未知の生き物はお互い怖いから。
それは動物のお約束なの。
でも、相手のほうが怖がりさんだったら、出会い頭に先手を打って襲ってくるとも限らないから、とにかく遭わないに越したことはないね。


……はぁ、どき.どき。
広い土のお山は、僕の知らないことだらけだなぁ。



その時だった。
背後から息の音!?しまった、風上で距離感が掴めてなかった???

僕は振り向きざまに吠えた。
姿は見えないけど、そこにいるっ!!

逃げて!ミヤタさん、ニカさん、早くっ!

『ドンブリ!?どうした?』
『な、何だよ、急に……。』

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作者名:みあん | 作成日時:2021年10月3日 15時

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