参拾玖 ページ40
翌朝。
我妻善逸の枕元には紙が一切れ落ちていた。
我妻善逸がそっと開くとそこには綺麗で丁寧な文字で、「来てくださることをお待ちしています」という言葉と地図が載っていた。
そしてその時我妻善逸は顔を真っ赤にしていた。
誰にも見つからぬよう、静かに病室を抜け出し、地図の通りに向かっていく。
善「ここか…?」
「…おいで下さったのですね。」
我妻善逸が向かった先には、目元まで布を被った人間がいた。
我妻善逸の肩は跳ね上がった。
音がしなかったのだ。
人間であることは間違いないと確信した我妻善逸はゆっくりと口を開いた。
善「…貴方が俺を呼んだんですか?」
「…ええ。」
善「…なぜ?」
「…」
善「…」
「貴方は、努力がお嫌いですか?」
善「…え?」
「…努力、とは、難しいものです。」
善「はあ…」
「…貴方は、自分がお好きですか?」
善「…嫌いです。だって俺、すごく弱いし。誰かに守ってもらわないと、生きていけないし。それに…」
「それに…?」
善「…俺、壱の型しか使えないんです。なんの話しだって思うかもしれないですけど。どれだけ練習しても、駄目だった。」
我妻善逸の言葉を最後に、長い沈黙が続いた。
緊張感に包まれ、我妻善逸は思わず1歩下がった。
「…嫌だというのなら、極めてみては如何でしょう?」善「…極める…」
我妻善逸は何かを思い出したかのように、口を噤んだ。
その人間は軽く笑うと、我妻善逸に背を向けた。
「…貴方なら出来ますよ。強くなれる。…強くなった時に、もう一度お会いしましょう。」
善「…」
「…お会い出来ること、お待ちしております。」
我妻善逸はその人間の背中を見つめるだけだった。
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Kiitigo(プロフ) - 涙さん» 一応柱ということで進めています。わかりにくい表示で申し訳ないです。 (2019年11月28日 23時) (レス) id: 365b906ec4 (このIDを非表示/違反報告)
涙(プロフ) - 階級は柱と甲どちらでしょうか? (2019年11月28日 23時) (レス) id: 5e09944bd4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Kiitigo x他1人 | 作成日時:2019年10月19日 22時