検索窓
今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:43,478 hit

参拾玖 ページ40

翌朝。
我妻善逸の枕元には紙が一切れ落ちていた。
我妻善逸がそっと開くとそこには綺麗で丁寧な文字で、「来てくださることをお待ちしています」という言葉と地図が載っていた。
そしてその時我妻善逸は顔を真っ赤にしていた。
誰にも見つからぬよう、静かに病室を抜け出し、地図の通りに向かっていく。

善「ここか…?」
「…おいで下さったのですね。」

我妻善逸が向かった先には、目元まで布を被った人間がいた。
我妻善逸の肩は跳ね上がった。
音がしなかったのだ。
人間であることは間違いないと確信した我妻善逸はゆっくりと口を開いた。

善「…貴方が俺を呼んだんですか?」
「…ええ。」
善「…なぜ?」
「…」
善「…」
「貴方は、努力がお嫌いですか?」
善「…え?」
「…努力、とは、難しいものです。」
善「はあ…」
「…貴方は、自分がお好きですか?」
善「…嫌いです。だって俺、すごく弱いし。誰かに守ってもらわないと、生きていけないし。それに…」
「それに…?」
善「…俺、壱の型しか使えないんです。なんの話しだって思うかもしれないですけど。どれだけ練習しても、駄目だった。」

我妻善逸の言葉を最後に、長い沈黙が続いた。
緊張感に包まれ、我妻善逸は思わず1歩下がった。

「…嫌だというのなら、極めてみては如何でしょう?」善「…極める…」

我妻善逸は何かを思い出したかのように、口を噤んだ。
その人間は軽く笑うと、我妻善逸に背を向けた。

「…貴方なら出来ますよ。強くなれる。…強くなった時に、もう一度お会いしましょう。」
善「…」
「…お会い出来ること、お待ちしております。」

我妻善逸はその人間の背中を見つめるだけだった。

肆拾→←参拾捌



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (30 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
81人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Kiitigo(プロフ) - 涙さん» 一応柱ということで進めています。わかりにくい表示で申し訳ないです。 (2019年11月28日 23時) (レス) id: 365b906ec4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 階級は柱と甲どちらでしょうか? (2019年11月28日 23時) (レス) id: 5e09944bd4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Kiitigo x他1人 | 作成日時:2019年10月19日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。