見つめるだけじゃ始まらない -Fischer's. Silk Road-

-29枠- ページ30

シ「…………」




鏡の前で悩みに悩んだ癖に、





シ「結局いつもと同じってか？」





ショーウィンドウに映る姿に思わず苦笑い。





すると、





◯『へ、変じゃないかな？』





聞き覚えのある声に、辺りを見渡した。



数軒先の店の前、
ショーウィンドウを眺める彼女の姿。





シ「はは、お前もかよww」





その光景に思わず頬が緩んだ。


俺に合わせてくれたのか
シンプルでジャラジャラと飾らないスタイル。


ショーウィンドウと睨めっこする彼女が愛しくて…




シ「何が？」




気付かれない様に
そっと近付き声を掛けた。

驚き頬を染める彼女に思わず…





シ「大丈夫だよ、ちゃんと可愛いから。」





なんて、
臭い台詞を誤魔化す様に彼女の頭を撫でた。

彼女は驚いた様子で慌てて俯いたんだけど…





シ( 耳、真っ赤… )




どんだけ可愛いんだよ、コイツ。

このままだと抱きしめてしまいそうだから…






シ「ほら、行こうぜ。」






俺は何食わぬ顔で歩き出す。


そんな俺を追い掛けて来る彼女は、
まだ俺の気持ちを知らない。


ふと横目で彼女を見ると、
俺の視線に気付き頬を緩ませる。





シ( 今の反則だろッ！！ )





無意識に歩くスピードが速くなる。





結衣『ちょ、シr…あ。』
シ「あ…わ、悪りぃ。」

結衣『危なかったです！危うく大声で叫びそうになりましたww』

シ「あ、それはヤバイww」

シ( そういや、俺も…おんの… )



結衣『外ではなんて呼んだら良いかな？』

シ「………ょう。」

結衣『え？』

シ「諒。」

結衣『…りょ…う？』

シ「ん、俺のなまえ…」

結衣『そっか、諒っていうんだ。』

シ「………おん、は？」

結衣『へ？』

シ「あ、いや！別に知られたくないなら無理にとは言わねぇけど。なんつーか…外で呼ぶのは、って…」

結衣『あれ、私言ってなかったっけ？』

シ「聞いてねぇなww」

結衣『私は、結衣…岡田 結衣。』

シ「結衣…。」

結衣『ーッ』

シ「なんでそんな赤くなんだよっ！！www」

結衣『い、いやッ…なん、となくッ』

シ「おまッ、はぁ…本当参るわ…」

結衣『ん？』

シ「いや、別に…あ、あれ！あの店。」

結衣『わぉ！！絶対美味しいやつ！！』

シ「いや、まだ外観www」

結衣『もう美味しい匂いしかしない！！』

シ「wwww」

結衣『早く入りましょ、りょうさん！！』

シ「こち亀風に呼ぶのは止めろwww」

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