カルテ×ハ×カルテ ページ23
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2人のゴンに対する必死な答弁を聞きながら、こんなにもなりたい職業を見つけられた2人を羨ましく思っていた。
特に理由もなく、特にやりたいこともなく、特に熱意も、決意も、目標さえもないまま仕事に就いた私とは大違いだ……なんて小さいのだろう、私は。
「どうだゴン!!」
「ゴンはどっちのハンターを目指すんだ!?」
2人の熱い視線を受け、「どっちって言われてもなぁ〜」と、ステーキを口にしながらゴンは返答に迷っている。
すると、チン、とエレベーターが目的地に到着した音が鳴って、私たちはガタリと席を立った。
「B100」と記されたエレベーターの表記を見ながら、私は自分の服の裾を強く握る。
今ならまだ戻れる、否、もう私は決めていた。
ここがどんな世界であろうと、夢だろうと、現実だろうと、この先に待つ「なにか」に触れたいと心が叫んでいる。
「着いたらしいな……」
「話の続きは後だ!!」
クラピカとレオリオが話を折り、私たちはエレベーターの扉の前に立った。
全員の鼓動が、一様にドクドクと音を立てていて、今にも緊張感で吐いてしまいそうだ。
ウィィン……
「「「「!!」」」」
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一瞬、誰かに首を掴まれたかのように、上手く息が出来なかった。
今までに感じたことのない、この空気。
明らかに私が生きてきた世界とは違う人の、視線、呼吸、音、雰囲気、その全てが、のうのうと人生を歩んできた私とは何もかもが違う────
(血の、匂いがする)
嫌だ、この空気を飲み込みたくないと体が拒絶反応を起こしている。
私だけなのだろうか、こんな、目眩が……
「それにしてもうす暗い所だな」
「一体何人くらいいるんだろうね」
レオリオが、うす暗く長いブラウン管がのような道を見ながら言い、ゴンもまた辺りを囲うたくさんの人を見渡していると、
頭上の方から、少しおどけたような声音の声が降りそそいできた。
「君達で406人目だよ」
その声に私たちが上を見上げると、太いブラウン管の上にずっしりと腰かけた、穏やかそうな中年の男性がこちらに向かい笑顔を浮かべていた。
この会場に来て初めて声を掛けられたものだから、隣にいるクラピカの警戒心がより一層強くなったのを感じる。
「よっ、オレはトンパ」
笑顔を崩さないまま、ひょいっとその場から降りると私たち一人一人に手を差し伸べる。
その間、試験官?らしき豆のような風貌をした人…から渡されたプレートを見ると、そこには一様に番号が記されていた。
(406番…)
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実珠 - あぴさん» はい!!とても楽しみです!!あーキルア格好いいなぁー!!!自粛明けで大変かと思いますが是非更新頑張って下さい、応援してますよ! (2020年6月8日 22時) (レス) id: 455069b8f0 (このIDを非表示/違反報告)
あぴ(プロフ) - 実珠さん» お久しぶりです〜今回もコメントありがとうございます^-^ 自粛明けて忙しくなりましたしね〜これから本格的にハンター試験も始まりますので、また読んでいただければ嬉しいです! (2020年6月8日 14時) (レス) id: 672d662638 (このIDを非表示/違反報告)
実珠 - あぴさん» お久しぶりです!学校行ってて中々見えませんでした…まとめて読んだんですけど久しぶりだからか余計に面白く感じました!やばい!面白い!!これからも応援してます! (2020年6月7日 19時) (レス) id: 455069b8f0 (このIDを非表示/違反報告)
あぴ(プロフ) - 璞さん» 初めまして、コメントありがとうございます!読んでいただき嬉しいです(^^)大変お待たせしました!私自身もやっと始まる〜!という感じです笑 全員キャラがいいんですよね……わかってくれる方がいて嬉しい…絵も褒めていただきありがとうございます、更新頑張ります^-^ (2020年6月5日 13時) (レス) id: 672d662638 (このIDを非表示/違反報告)
璞(プロフ) - あぴさんがみんな好きっていうのとってもわかります!!^ ^ 中でもアダルトリオはとっても素敵だと自分も思いました!、話は戻るのですが、、絵もとても素敵で本当に更新楽しみです、無理しないように頑張ってください(?)応援してます!!^ - ^ (2020年6月5日 0時) (レス) id: e8c51eabaf (このIDを非表示/違反報告)
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