【H×H】カチコミ！！

ウミべ×ノ×サイチョウ ページ20

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かなり激しく損傷している部分を最優先に、的確に、けれど男性に優しく声を掛けつつレオリオは治療を施してゆく。


まさかいつも持っていたこのバックに、一通りの医療器具が完備されているなど、思ってもみなかった私はレオリオからの指示を受けつつバックから言われた薬を手渡す。




(……やっぱり、変なんだよなぁ)


目の前で横になっている男性は、私が森の中、脳内でみた景色の中にいた男女2人の内の1人であることは、民族衣装のような個性的な服装からまず間違いない。

そして、連れていかれた女性の方も、あの魔獣と会話をしていたのだ、多分私たちがこの小屋に訪れる前に。



あれは、魔獣と2人が何か交渉しているようにも見えなかった。



上手く言えないが、なんというか、そう、言うなればあれは「家族会議」！

どこか緊張が走る場面もありつつ、あれはしっかりとした信頼で結ばれた会話の光景だった。





「……あのぉ」




苦悶の表情を浮かべる男性に、今話しかけるのは心苦しかったが、どうしてもこのモヤモヤを取り外したくて、ほぼ正解は出ていたが確信的な何かが欲しかった私は、

少し瞼を開きこちらを見た彼に、口を開いた。






「すみません、これってもしかして何かの試験ですか…？」





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「わっはっは！今年は豊作だねえ！」





私たち4人の前に並んだ魔獣2匹が声高々に告げると、夫婦と偽っていた息子さんと娘さんが感心するように頷く。


何故こんな状況になっているのか、私にもよくわからないが、
やはりこの4人、いや4匹は家族であり、どうやら人間に化け言葉も話せるという魔獣「凶狸狐」という変幻魔獣らしく、先ほどの芝居は試験で間違いなかった。


だいぶこの世界観に慣れてきたこともあり、ナビゲーターが簡単に会場まで案内してくれるはずないと踏んでいた私の考えは的中していた。

そして、あの脳内に浮かんできた景色も。




前に並ぶ凶狸狐の夫婦は姿形そっくりだが、ゴンはその違いを類まれなる聴覚と野生の勘で声質から聞き当て、

クラピカは、連れていかれた娘さんが手首に彫っていた、生涯独身を通すことを誓って彫る入れ墨のヒントをその博識高い知恵から探り出した。


そして、レオリオは息子さんが凶狸狐だったことには気づけなかったが、彼に対する傷の応急処置の適切さと、力強く励まし続けていた優しさが彼らのお眼鏡にかなった。



私はと言うと、彼らに事前にみえた光景は伝えなかったものの、勘と察知能力が優れているという名目で、通過できた。






「合格だ。会場まで君達4人を案内しよう」




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