ミルク ４ ページ4
放課後。今日は部活が休みなので、ちょっと寄り道して駅前のカフェに行く。雷門中の校則はわりとゆるいので、寄り道くらいじゃ何も言われない。
カフェ・スイートピー。ドアを開けると、からん、と綺麗な音が鳴って、「いらっしゃいませ」とウェイターさんの声がした。小さく会釈して、窓際の席に座った。
「ご注文はお決まりですか？」
にこりと笑った彼の名前は水原純さん。涼しげな目元の、少し中性的な美青年だ。カウンターでコップを磨いているマスターが言うには、女性客の中には水原さん目当てもいるんだそう。
「ショートケーキと」
「ミルクティー？」
「はい！」
「いつもと同じやつね」と水原さんが微笑んで言った。すっかり覚えられてる。水原さんがカウンターに向かうのを見届けて、窓の外を見た。買い物帰りの女の人と、手を繋いだ男の子。楽しそうに笑いながら歩く女子高生。いつも通りだ。だから、私は窓から見えるこの景色が好きだったりする。
いつも通りで、平凡で、安心する。ここから見てると、外の世界に巻き込まれない平和な場所にいるような気がする。争い事は、怖いし嫌いだ。ここは、安全。
「お待たせいたしました」と、水原さんがお皿とコップを私の前に丁寧に置いた。おいしそうなケーキに頬がゆるむ。
「たそがれてたみたいだけど、どうしたの？もしかして恋？」
水原さんがトレイを脇に抱えていたずらっぽく笑う。恋。その単語に、ぼっ、と頬が赤くなった。倉間君の顔が頭に浮かぶ。そんなんじゃないですよ、と慌てて言ったけど、彼はにこりと「頑張れ」と言った。小さな子供を見て微笑ましいなぁと笑うように。
「中学生っていいね。僕も中学の時はとんでもない体験したな」
「とんでもない体験？」
「例えるなら、こう、別世界に飛ばされるレベルの」
「そんなにすごい体験だったんですね」
「そりゃもう青春しまくってたよ！」
楽しかったな、と笑う。青春か。そういう水原さんも、私とそんなに年離れてないんじゃないかとふと思った。むしろ、今でも青春してそうだ。
「で、Aちゃんの意中の相手はどんな子なわけ」
「え、えっと。かっこよくて、冷たそうに見えるけど実は優しくて…」
「大好きなんだ」
「だ、だいす…？！」
ぽん、と軽く投げられた水原さんの言葉に顔が熱くなる。そんな私を見て水原さんはおかしそうに笑った。からかってるんだろうか。いや、大好き、だけど。
続く (更新停止中)
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乃森(プロフ) - †猫蜜柑†さん» おもしろいとのコメント、ありがとうございます。とても嬉しいです！更新頑張りますね。 (2015年5月24日 11時) (
レス) id: 4886bd4a0b (このIDを非表示/違反報告)
†猫蜜柑† - 面白いです！
頑張って下さいね〜 (2015年5月22日 12時) (携帯から) (レス) id: 66483bffd5 (このIDを非表示/違反報告)
乃森(プロフ) - チョコウサギさん» ご指摘ありがとうございました。直してきました。これからもこの作品をよろしくお願いします！ (2015年1月20日 1時) (レス) id: 98732e3227 (このIDを非表示/違反報告)
乃森(プロフ) - えむさん» コメントありがとうございます、励みになります。いじめを傍観する側にも、様々な意見があると思いますが、この主人公には私の個人的な意見や理想が反映されています。楽しみにしていてくれると嬉しいです！ (2015年1月20日 0時) (レス) id: 98732e3227 (このIDを非表示/違反報告)
乃森(プロフ) - 乃兎.さん» 忠告ありがとうございます。あからさまな暴力表現等は書かないよう気を付けています。応援してるとのこと、ありがとうございました。 (2015年1月20日 0時) (レス) id: 98732e3227 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乃森 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/setsunahp/
作成日時：2015年1月15日 14時
