ミルク ２ ページ2
教室に入って鞄の中の教科書を出してると、友達が挨拶をしてきたので、私も「おはよー」と手を振り返す。その子は私の隣の席に座ると、楽しそうに聞いてきた。
「昨日のMスタ見た？」
「見たよ」
「白鳥君マジカッコいい！」
きゃー、と可愛らしく頬を両手で押さえた。私は頷きながら返事をする。
「ダンスすごかったよねー」
「ね！ラップパートも最高！」
「あ、そこ好き」
嘘は言ってない。白鳥君をカッコいいとは思わないけど、ダンスはすごかったしラップパートは好き。私はこれが得意だ。友達関係は、意見が少し違うだけで、少し反対するだけで、簡単にヒビがはいる。それを避けるために、私はこうやって曖昧に言葉を誤魔化してるんだ。
「そこ、俺の席」
その声に、私は反射的に背筋を伸ばす。友達は「あ、ごめん」と短く謝ると、さっさと他の子のところへ行ってしまった。
「おはよう」
「ん」
席に座って文庫本を読み出した倉間君に声をかけた。彼の返事はそっけないけど、ちゃんと視線をこっちに向けてくれる。前の席の浜野君と話し始めた倉間君をちらりと見る。
私は倉間君が好きだ。彼の全てが、好きでしょうがない。
「きゃはははは！」
「えー、なにそれヤバイ！」
声が聞こえて見ると、クラスでも目立つ子、いわゆるリーダータイプの三浦さん達が早口でまくしたてて、けらけらと笑っていた。楽しそうだな、なんて思いかけて、あ、と気が付いた。
三人の真ん中には、少し居心地悪そうに座っている浅野さんがいた。よくよく聞いていると、その話はあきらかに浅野さんに対しての嫌味だった。三浦さん達は浅野さんの机を取り囲むようにして話している。浅野さんにとっては逃げ場のない牢屋みたいなものじゃないか。
「とめてこよっかな」
浜野君がぽつりと呟いた。
「や、やめた方がいいよ」
ふらっと三人のところへ行きそうになってた浜野君を慌ててとめた。浜野君は急に話しかけられたことに驚いたのか、目を丸くする。そしてこてん、と首を傾げると、「なんで」と無邪気に聞いてきた。
「なんで、って…」
言葉につまってると、倉間君が文庫本を置くと肘を机についた。
「男子に媚を売って生意気だとか余計に浅野さんが絡まれんじゃねーか」
「あー、それもそっか」
的を射た発言に、浜野君は女子ってこえー、と呑気に呟く。怖い、よね。
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乃森(プロフ) - †猫蜜柑†さん» おもしろいとのコメント、ありがとうございます。とても嬉しいです！更新頑張りますね。 (2015年5月24日 11時) (
レス) id: 4886bd4a0b (このIDを非表示/違反報告)
†猫蜜柑† - 面白いです！
頑張って下さいね〜 (2015年5月22日 12時) (携帯から) (レス) id: 66483bffd5 (このIDを非表示/違反報告)
乃森(プロフ) - チョコウサギさん» ご指摘ありがとうございました。直してきました。これからもこの作品をよろしくお願いします！ (2015年1月20日 1時) (レス) id: 98732e3227 (このIDを非表示/違反報告)
乃森(プロフ) - えむさん» コメントありがとうございます、励みになります。いじめを傍観する側にも、様々な意見があると思いますが、この主人公には私の個人的な意見や理想が反映されています。楽しみにしていてくれると嬉しいです！ (2015年1月20日 0時) (レス) id: 98732e3227 (このIDを非表示/違反報告)
乃森(プロフ) - 乃兎.さん» 忠告ありがとうございます。あからさまな暴力表現等は書かないよう気を付けています。応援してるとのこと、ありがとうございました。 (2015年1月20日 0時) (レス) id: 98732e3227 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乃森 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/setsunahp/
作成日時：2015年1月15日 14時
