28 前置きの必要性 ページ28
「別に、たいした事じゃないんだけど」
お茶を一口のみ、話し始める。
私はそこからもう気に入らなかった。
本当に大した事じゃないならわざわざそんな前置きしないでしょ。
そう思いつつ黙っているのは余計な関わりを少なくする為。
「俺、誰にも言うつもり無いから」
「・・・」
合わせた視線は一瞬たりとも逸らされない。
そんなに見つめたって何も見えないでしょ。
見せるもんか。
「・・すみません。
何の事を言ってらっしゃるのか分かりません。
気付かない内にミスをしていたなら申し訳無く思いますけど・・」
「・・・」
「・・・」
お互いに黙る。
溜め息をついたのは櫻井さんだ。
そしてもう冷めてるだろうお茶を口に含み、私を見ながらゴクリと飲んだ。
何を考えてるんだろう。
可愛くないな、とか？
素直に認めろよ、とか？
周りはいつも勝手。
『大丈夫だよ』なんて軽く言うくせに、何かあっても助けてくれるわけでもない。
結局自分を守るのは自分なの。
「あの、早く慣れるように頑張りますので、色々教えて頂けたら嬉しいです」
少しだけ笑顔を添えて言うと、櫻井さんはガクンと顔を伏せハッと息を吐いたかと思うとパッとこちらを向き「分かった」と短く頷いた。
「じゃ・・とりあえず、これからヨロシク。
午後も頼みたい仕事あるから必要事項はメールしとくわ。
多分大丈夫だと思うけど、頑張って早く慣れてね」
「はい」
「・・・俺にもね」
「・・・はい」
会話はそれきり途絶え、揃って店を出た。
すぐに財布から千円札を出すも「今日は俺が無理に誘ったようなもんだから」と受け取ってはもらえなかった。
午後からも主に櫻井さんの仕事の手伝いをして、少し出来た合間に違う人の書類を作ったり、ケースにまとめられた総務や経理行きの伝票の整理をする。
でも、櫻井さんの仕事が多すぎて、これではまるで全体の事務というより櫻井さん専属助手のようだ。
「俺３時から出るけど、頼んだの終わったら帰りは待たなくていいから。
課長に指示仰いで」
こんな物言いも。
きっと前任者もこんな風だったのだろう。
櫻井さん以外の人は仕事を頼む時「そんなには急ぎじゃないんだけど出来れば」なんて申し訳ないような顔でやってくる。
出来れば、なんて絶対急ぎでしょ。
でも、やはり例外もいる。
「これもよろしく。急ぎ目で」
さっき櫻井さんに袖にされた先輩の声に「はい」と笑顔で返しながら、心の中では溜め息を付いた。
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とも(プロフ) - こんにちは。赤い眼の真相？とっても気になります。ってか続きがめちゃくちゃ読みたいです( ^_^ ;) (2020年1月25日 13時) (
レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
seiran(プロフ) - みやさん» みやさん、こんにちは。大変お待たせしましたm(__)mたったの１話ですが更新いたしました。この後はもう少し更新頻度は上がるかも。お時間ある時にお付き合いいただけたら嬉しいです(^^) (2018年5月12日 13時) (レス) id: 97bddcb896 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 待ってます (2018年4月14日 10時) (レス) id: 31283dda21 (このIDを非表示/違反報告)
seiran(プロフ) - みぃこさん» みぃこさん、こんばんは(^^)先程、すくない話数ですが更新してきました！もう少しコンスタントに進めるのが理想なんですけど、なかなか時間が取れません（T_T） (2018年2月26日 23時) (レス) id: 97bddcb896 (このIDを非表示/違反報告)
みぃこ(プロフ) - おはようございます☆これからの更新楽しみにしてます(*^^*) (2018年2月14日 9時) (レス) id: 22f30ee0ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青藍
作成日時：2018年1月10日 23時
