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高峯
「最後はやっぱりこれですね」
目の前にはゆるりと回る観覧車。
高峯くんごめんね、実は私高所恐怖症なんです。
でも、高峯くん乗りたそうにうずうずしてるし何だか断りずらいな。うう、どうしよう…
『お兄さん、お姉さん、今カップル限定シート空いてますよ！ぜひ、いかがですか？』
「あっ…いや、私たちは……」
高峯
「じゃあ、お願いします」
「(た、高峯くん…！)」
高峯
「…今だけカップルってことで」
高峯くんは、にこりと笑いながらしーっと口元に人差し指を立てる。
カップル限定シートは、ハート柄一色でいかにもカップル感が満載。座るだけで何だか恥ずかしい気持ちになるくらいだ。
向かい合わせに座り、なるべく外を見ないようにする。まだ序盤は良いものの、てっぺん付近は耐えられるだろうか。高いの怖くて出してはいけないものを出してしまいそう…
高峯
「先輩…？具合でも悪いんですか？」
「うんん、大丈夫！大丈夫…」
高峯
「もしかして、高いところ苦手とか？」
「…う、うん。正解」
今の私には嘘をついて乗り切る余裕もなく、察しのいい高峯くんに高所恐怖症と打ち明けた。
すると、高峯くんは私の隣に移動し私の手をぎゅっと握りしめた。
高峯
「すみません、先輩のこと全然気遣えてなくて…」
「いや！高峯くんは気遣い過ぎなくらいだよ！？言わなかった私が悪いんだし…」
高峯
「俺の前では遠慮しないで下さいね」
「ありがとう！高峯くんは気も遣えるし、優しいね。高峯くんが本当に彼氏だったら幸せなんだろうな〜」
高峯くんは優しいし、気も遣えて頼れる存在だ。かっこいいし、身長も高いし、女の子がもっと沢山いる学校だったらモテモテだろうなぁ。
高峯
「俺が優しくするのは先輩だけです」
"先輩だけ"という言葉がやけに胸に響く。
嬉しさと恥ずかしさが入り交じって、その言葉にどう返答したらいいのか分からない。
高峯
「そうだ、先輩にお願いがあるんですけど」
「はっ、はい！なんでしょう！」
高峯
「下の名前で呼んでもいいですか？」
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作者名：あねもね | 作成日時：2021年1月19日 19時
