ホワイトデーに…【728／短編集】 (ページ5)

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レモンキャンディー…Kento.N ページ5

長尾side

貴「やっ…やめてっ…！来ないで！」

「Aっ！？A！起きて！」

貴「っ…！はぁ…っ！け、けん…と…？」

「せやで！また見てもうたん…？」

貴「うん…」

「俺はここにおるから大丈夫やで…」

そう言ってAの頭を撫でた。

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であった頃のAは虐待を受けていた。

道端に蹲る彼女は震えていて、何かあったと思った俺は、とっさに自分の家に連れて帰った。

最初は恐怖に怯えるように俺を見ていて、思い出したくないようだった。

それでも根気強く接していたら、話してくれた。

その内容は残酷で、胸が痛んだ。

虐待だけだと思っていたのに、いじめまで受けていたなんて。

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それから、少しでも恐怖が消えるように、俺はAのためにあらゆる手を尽くしてきた。

そして、Aの両親が捕まって、転校もした。

それでも、悪夢を見ることはなくならなくて、さっきみたいに魘されることもしばしば。

「俺が教えてあげるから…安心してええんやで…」

安心したのか、眠ってしまったAの寝顔を見ながら枕元にレモンキャンディーを置いた。

今日はホワイトデー。お返しってわけじゃないけど、Aはいつも頑張ってるから。

いつかAが、悪夢からも、恐怖心からも解放されて、“真実の愛”を知ることが出来ますように。

そして、その暁には俺の気持ちを伝えられますように。

＿fin.

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長尾謙杜 × レモンキャンディー “真実の愛”