ホワイトデーに…【728／短編集】 (ページ2)

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ぶどうキャンディー…Kyohei.T ページ2

恭平side

あの日、もう好きでいてはいけないと、諦めたはずだった。

好きでいてはいけないのは、彼女には彼氏がいるから。

でも、それは決して幸せとは言い難いものだったようで、

俺があの時諦めずに気持ちを伝えていたらとひどく後悔した。

それから、俺は彼女といられるならそれでいいと、幼なじみという立場を利用して相談にのっていた。

貴｢もう彼と別れたい｣

彼女がそう言った瞬間、あの日から心の奥にしまいこんでいた気持ちが込み上げてくるのを感じて、抑えられなかった。

｢俺やったらそんな悲しい顔させへんのに…なぁ、俺にせえへん？｣

その一言から、彼氏に気づかれないように、身体の関係は始まった。

罪悪感を感じつつ、彼女が拒まないのをいいことに、今までずっとこの関係が続いていた。

そして今日はホワイトデー。

本当なら俺といるべきじゃない。彼氏といるべき。そのはずなのに、こうして来てくれた。その事実だけでも嬉しくて、俺は舞い上がった。

それでもやっぱりどこかに罪悪感はあった。

｢俺とおってええの？｣

貴｢…うん。恭平といたい。｣

その一言で迷いは消えて、彼女を押し倒した。

｢A…｣

貴｢恭平…んっ…ふぁ…｣

｢ふっ…かわええ…｣

目がとろんとしているAを見て頬が緩みながら、キャンディーを自分の口に入れて、

A…今は…この時間だけは、俺だけを見ていてや。

そう願いを込めて、ホワイトデーの贈り物として、キャンディーを口移しして、そのまま一緒に舐めた。

Aと一緒に舐めたぶどうキャンディーは甘酸っぱくて

｢好き｣という本当の気持ちと、

｢好きでいてはいけない｣という嘘の気持ち

2つの気持ちの間で揺れながらも

この背徳感ある恋に“酔いしれる”

そんな俺の心を表しているようだった。

＿fin.

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高橋恭平 × ぶどうキャンディー “酔いしれる恋”