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#4 翔ぶ能力 ページ4

明るいが薄気味悪い廊下を歩く。簡単に独房と言えども一つではない。拷問器具の置かれた部屋や逆に何も無い部屋など部屋ごとに様々だ。危険な部屋も中にはあるため慎重にならざるを得ない。
 詳細な場所を聞いていなかった為、何処にいるものかと悩んだが通りすぎようとした或る部屋から声が聴こえた。

「……誰だ…?」

 それは紛れもなく、今現在探していた者の声そのものだった。
 一応警戒しつつ扉を開ければ、手足は拘束され、眩しい程の銀髪は汚れており、身体にはいくつもの痛々しい傷がある少年の姿が。

「キルア君、大丈夫ですか?」

「ん? これくらいへーきへーき」

 表情は何時もと変わらないままで、そこに僅かに安堵する。
 枷を外していいとは言われていないので、外しはせず足元に座り込む。_鎖を見ていると気が狂ってしまいそうだ。微細だが恐らく変化しているであろう化物の象徴を見せまいと、背を向け話し掛ける。

「キルア君は、自分にぴったりな特別な能力を、自分で考えられるとするなら、どういうのを考えるですか?」

 自分でも突拍子もない内容だとは思っているが、それでも彼は、んー、と思案してくれた。

「そうだなー……ゲームとかテレビでよくあるのは空を飛ぶとか物を浮かすとかか?
すげー強いグーパンとか」

 鎖がガシャガシャと鳴り、思わず肩を竦めるも彼の言う事に耳を傾けた。彼らしい答え方だな、と思いながらふとあることを思い付く。

「とぶ能力……跳ぶ、翔ぶ…」

「にしてもいきなりどうしたんだ?
お前の急な言動なんていつものことだけど」

「……キルア君ありがとうです、そうですよ、それです!」

「……はあ?」

 気の抜けた様な声を出す相手を気にせず、この案を、忘れていた思いをどうまとめれば良いのか考えるが、直ぐには無理と判断し、とりあえず礼だけ述べる。
 すると丁度良いタイミングで開きっぱなしの扉から覗く顔が見えた。

「カルトちゃん!
………ごめんなさいですキルア君、私もう行かなきゃで……えっと、その、…皆待ってるです。だから早く帰ってきて下さいね」

 最後は聞かれては不味いと思い、カルトには申し訳無いが聴こえないよう小声で伝える。
 疑問符を浮かべたままだったが、最後は理解してくれた様で気のない返事をされた。手を振って部屋を後にし、カルトの方へと駆けていく。
 説明を聞くよりも前に。先の思いを、伝えなければ。

#5 “念”→←#3 屋敷へと



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ティア - カルトは男。まぁ女でも可愛いけど! (2015年4月2日 14時) (レス) id: 10fa437b4c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しのみや | 作成日時:2013年3月15日 7時

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