[忍たま]*.ﾟ忍者の卵とお姫様 2 *.ﾟ[愛され]

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(水軍side)


朝になると、忍術学園の生徒はこぞって皆居なくなっていた


立つ鳥跡を濁さず、とはよく言ったもので、彼女達が居た痕跡すら跡形も無いのは少し寂しい


やけに涼しい夏の風が、より一層虚無感を煽っては消えていく


水練の二人は看板に立って、昇る日の出を真っ直ぐに見つめていた


重「舳丸の兄貴は、ちゃんと話せたんですか？」


舳丸「ああ。」


重「そうですか、良かったです」


舳丸「お前は良かったのか？Aさんのこと、好いていただろう」


重「…本当は、最後に告白しようと思っていたんです。けれど、舳丸の兄貴とAさんを見ていたら……諦めがつきました」


乾いた声でははっ、と力無く笑う


舳丸「何故だ？」


重「だって俺、あんなに優しく笑う兄貴を初めて見たんです。それを見たらもう、応援するしか無いじゃないですか。」


舳丸「重…！」


重「俺に脈が無いことは重々承知です。その上で邪魔をするのは、野暮ってもんでしょう」


舳丸「…そうか。でも俺にとってはお前も同じくらい大事なんだぞ」


重「舳丸の兄貴…！」


舳丸「＿＿よし。今日も仕事を始めようか」


重「はいっ！」


ゆらりゆらり、水面(みなも)のように揺らめく恋はひとつの終焉を迎えた


ひと夏の恋とは、泡沫のように淡く、また朝霧のように
儚いもの


この先心がどう色を変えていくのか、誰と恋に落ちるのか、知る者は誰一人として存在しない



春の花は花弁を落とし、新緑は益々色を深める




まだまだ長い夏は始まったばかり＿＿＿。



(水軍編 終了)

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