言葉の矢【暗殺教室】 (ページ17)

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17話ページ17

「Aー、帰ろ！」

皆がちらほら教室から出て行っているとき、私はカエデに声をかけられた。

カエデの後ろには渚君もいる。

『あ、今日日直なので仕事があって遅くなると思います・・・』

「えー？そっかぁ、じゃあしょうがないね」

「A、もう1人の日直は？」

『あー・・・えっとそれが・・・』

「「？」」

『陽斗、なんです』

「・・・あ」

2人は私と陽斗の関係が良くないことを知っている。

『大丈夫ですよ。やることやって帰りますんで！』

「そ、そお？」

「ならいいけど・・・」

『はい！じゃあまた明日です！』

2人は明るい私に安心したのかバイバイと手を振りながら並んで帰って行った。

『えーと、日誌・・・』

と日誌を書こうとしていると私の前の席に誰か座った。

つまり、奥田さんの席。

いや、まあ意味なく私の前に座ると言ったら1人しかいないんですけど・・・。

『ひろ、前原君』

「・・・なんで苗字なんだよ」

『なんでって・・・私なんかに名前で呼ばれても嬉しくないでしょうし・・・』

そう言ったとき、陽斗の顔が少し歪んだように見えた。

でも、私は気にせず

『こんな生きてる価値もないような人に、ましてや嫌ってる人に名前で呼ばれたいと思いますか？

迷惑でしょ？』

「・・・」

『そういえば今日はデートないんですか？』

「今日はない」

無言のまま日直の仕事を終わらせていく。

30分くらいしたあと、携帯が鳴り始める。

陽斗の。

なんか携帯の画面が見えたからディスプレイを見てみると

"早川奈々美"

女子の名前だった。

デート？

やっぱりあるんじゃん。

『デートの約束やっぱりしてたんじゃないんですか』

「・・・悪いか？今日は日直の仕事あったし」

『別に行っても良かったのに』

「は？」

『行っても良かったと思います。今更会うのはもう遅いし。

・

私と一緒にいるよりずっと有効な時間の使い方だと思います』

「っ！！」

『・・・？』

「あーそうかよ！！」

『え？』

「さっきから自分のことなんかとか言って！！

聞いてるこっちの身にもなれよ、うざいんだよ！！

なんだよ、生きてる価値もないとか知らねーよ！

そういうネガティブ思考も気持ち悪いんだよ！！！

それ以上気持ち悪くなってどうすんだよ！！」

"気持ち悪い"

その言葉は私の心に矢と変形し刺さった。

「俺もう帰る」

そう言って教室を飛び出す陽斗。

私はしばらく固まっていた。

書き終わった日誌を片手に。