七話 ページ8
..(渚視点)
少数の乗り気では無い子達に「馬鹿らしい」と、ごもっともな意見を言われた僕達は、一部を教室において、教員室に足音立てずに来ていた。
だが、教員室の扉と窓からこっそりと覗き、耳を側立てる頃には既に説明は終盤になっていて、Aの反応も薄いと女子達が残念そうに肩を落とした時。
支給された銃を訝し気に弄っていたAが、既に銃の中にＢＢ弾が入っていた事に気付かなかったのか、ぽろぽろと止めどなく弾を落としてしまった。
部屋中に散らばる弾。
Aは「すみません」と平謝りし、すぐさま床に転がる弾を拾おうとするものの、机の上にあったＢＢ弾が詰めてあるボトルを落とし、更に散らかしてしまった。
明らかに何かが可笑しい。
『あー……。後で箒と塵取りもってくるんで』
「Aさんは随分とおっちょこちょいなんですね」
『……、あははー……、やっぱりそう言われちゃいますよね……。
自覚は無いんですけど、兄にもよく言われちゃって……。
最近なんて、果物ナイフ使ってたら手を切っちゃって、兄に叱られたばっかりなんですよね』
「おや、刃物を扱う時は気を付けて下さいね」
双子の僕から見たら、すぐに嘘の笑みだと分かる様な笑顔を顔に張り付けるA。
女子達はそんなAを見て、
「うわ、笑顔あまーい」
「ドジとか可愛いところあるじゃん」
などと、こそこそと喋って笑っているが、僕は彼女達に向けて首を振った。
「違うよ。Aは人一倍、手先が器用な方だから、僕はAにおっちょこちょいだなんて一度も言った事無いし言えないんだ。
逆に果物ナイフで手を切っちゃったのは僕の方で……」
はにかみつつも、僕の人差し指に巻かれた絆創膏を見せれば、
皆の顔が戸惑いと驚きが混じった様な微妙な表情に包まれていくのが分かった。
「じゃ、じゃあ、あれって演技って事か……？」
磯貝君の問い掛けにこくりと頷けば、
平然と嘘を吐いて、偽りの笑顔で会話しているAを皆、唖然と見据えた。
室内の会話だけが聞こえるだけの沈黙が漂う。
そんな中、誰かが「何のために……」と、ぽつりと呟いたが、すぐにその理由は明らかになった。
その後の初めて見る暗殺らしい暗殺に声を失った僕達。
暗殺後の、教員室に静かに佇むAに少しでも魅了されたのは僕だけじゃないはず。
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. - 千々さん» ありがとうございます！ 励みになります😌 (1月22日 8時) (
レス) id: 9fd6ec5536 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - とても面白いです！ 素敵な作品ありがとうございます！ 続きを楽しみにしています！ (1月21日 11時) (レス) @page14 id: 1d9d509371 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：. | 作成日時：2023年12月30日 20時
