十四話 ページ15
..(渚視点)
『そもそも、先生には意外に弱点が多い。頻繁にドジを踏むし、慌てた時には反応速度も人並みに落ちるし、……その他もろもろ』
Aは他人に興味や関心が無い癖に、すぐに僕らの変化やそれぞれの癖に気が付く。
今もその一片が垣間見えた瞬間だと思う。
暗殺に参加せずに客観的に先生を見ているからこそ、僕らの気付かない所まで気付いてくれる。
だけど、今回、前原君に指摘されて、どう思っているのかと、弱点メモに書き込んだ後、こそっとAを盗み見た。
まぁ、いつも通りの変わらぬ澄まし顔で僕達を見据えていたから、そんなに心配はいらないと思ったんだけど……。
『弱点が多いとはいえ、国が殺せない程の強大な力を持つ超生物である事には変わりない。そんな超生物に本気で警戒されてちゃ、殺すどころか攻撃すら通らないのは君達でも分かるよね？』
どこか言葉が刺々しいと感じた。
皆は気付かないくらいの変化だけど、長年一緒にいた双子の僕だからこそ分かる変化。
『僕に期待しないでくれない？ そんなに重宝されても困るだけなんだよ』
一際、強みを帯びたAの言葉にはっとする。
幼い頃のAへと向けた母親の期待の言葉の数々。
"あなたなら必ず出来るから"
"優秀な成績を残して将来良い職業に就くのよ"
"あなたには"期待"してるんだから頑張って"
その言葉は自分に言われていた訳じゃないのに、僕の心の中にも深く刻み込まれたことを覚えている。
あの頃の無垢なAなら尚更重みになっていた筈で。
色々と訳合って、母親と決別した今のAでも、その枷は未だに繋がれたままの様だった。
僕は双子といえど、Aの兄。
Aが辛いなら、いくらでも頼って欲しいし、力になってあげたい。
だけど――。
「A、どこ行くの」
『……、ちょっと喋りすぎて疲れたから寝てくる』
本当は、"大丈夫？"って聞きたかったけど。
Aから喋ってくれない話ははぐらかされてしまうから。
"なにかあるなら話して"
そんな言葉を飲み込んで手を振った。
「いってらっしゃい」
そんな僕の心情すら察しているのか、安心させるように小さな微笑みを浮かべると、Aは早足に教室を出て行った。
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. - 千々さん» ありがとうございます！ 励みになります😌 (1月22日 8時) (
レス) id: 9fd6ec5536 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - とても面白いです！ 素敵な作品ありがとうございます！ 続きを楽しみにしています！ (1月21日 11時) (レス) @page14 id: 1d9d509371 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：. | 作成日時：2023年12月30日 20時
