十三話 ページ14
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ぱちりと橙色の視線と合ったが、彼は青褪めた顔をして固まってしまった。
それと同時に駆け寄ってきた渚の手が僕の腕に触れる。
「A……、そこまでに――」
『渚なら分かるよね。僕は特別な能力も何もない。逆に人間としての欠陥ばかりが目立つ、君達と同じ"落ちこぼれた"三年Ｅ組の一人だって』
「ご、ごめっ……、俺、そんなつもりで……」
『謝罪が欲しいわけじゃない。ただ、僕に期待しないでくれない？ そんなに重宝されても困るだけなんだよ』
「A……っ！」
瞬間、片側の頬に痛みが走って目を瞬かせる。
ぎゅっと抓られる頬。
その手を辿れば、随分と怒っている様子の渚と目が合った。
『いひゃい、んだけど……』
「もうそろそろやめて」
『……、ごめん』
「……、大丈夫？」
『ん……、落ひ着いたはら離ひて』
素直に頷くとそっと手を放す渚。
まだじんじんと痛む頬を擦りながら前原君に顔を向ける。
怖がっている様な申し訳なさそうな視線と目を合わせながら、一つ溜息を吐いた。
『ごめんね、少し意地悪した』
「は……、え？ 意地悪……？」
『そう。多分、"なんであいつだけ暗殺に参加しないんだ"って、他の皆も前原君と同じこと思っているんでしょ？ なのに、僕が前原君にだけ攻撃的になるのも筋違い。それこそ、僕の方が気が立っていて前原君に当たったって形にしか見えないし』
「え？ じゃあ、今のは冗談って事か？」
『……、うん、まぁ、そう思ってくれていいよ』
期待して欲しくない。というのが本音だけど。
僕が頷けば、「マジかぁ」という前原君の安心した声と共に、まるで糸が切れたかのように教室中の雰囲気が温かくなり始めた。
がやがやと騒がしくなり始める教室。
僕は、すっかり顔色の良くなった顔に笑みを浮かべ、磯貝君と話す前原君を横目に、教室を出ようと扉に手を掛けたが、僕を呼ぶ声に足を止めた。
「A、どこ行くの」
『……、ちょっと喋りすぎて疲れたから寝てくる』
僕の返答に何か言いたげに口を開いた渚だったが、何を探る訳でも無く、「そっか」と一つ呟くと、「いってらっしゃい」と穏やかな笑みを浮かべて手を振ってくれた。
うん、文句なしに可愛い。
なんて、渚の可愛さを再確認しながら、教室を後にすれば。
「さぁ、銃と弾を片付けましょう！ 授業を始めます！」
騒がしさを切る様な先生の声が廊下に響いた。
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. - 千々さん» ありがとうございます！ 励みになります😌 (1月22日 8時) (
レス) id: 9fd6ec5536 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - とても面白いです！ 素敵な作品ありがとうございます！ 続きを楽しみにしています！ (1月21日 11時) (レス) @page14 id: 1d9d509371 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：. | 作成日時：2023年12月30日 20時
