十一話 ページ12
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『殺ると思った？』
ふっと、鼻で小馬鹿にしたように笑った瞬間、胸倉を鷲掴みにされる。
そのまま、爪先しか地面につかない所まで、馬鹿力で持ち上げられれば、寺坂君の顔が間近に近付いた。
きゅんっと心にときめかないのは寺坂君相手だからだ。
女子達の寺坂君に静止を促す声と、僕の名前を呼ぶ渚の心配そうな声が聞こえるが、随分と憤っている様子の寺坂君は聞く耳持たず。
「てめェの空かしたその顔、一発殴んねェと気が済まねェんだよッ！」
額に青筋を浮かべながら、僕の胸倉を掴む反対の手を振り上げ、そして、僕の顔面目掛けて遠慮なく拳を振り下ろしてきた。
殴られる。
そう理解したまま、僕はじっと彼の目を見据えて、抵抗する事も無く身を任せた。
ぱしんっと乾いた音が教室中に木霊する。
殴る拍子に寺坂君の手から離れた自分の胸倉部分を擦りながらも、目線を上げれば、先生が寺坂君の拳を受け止めていてくれた。
僕は、粗方、予想は出来ていたけど、寺坂君にとっては予想外の事だったらしく、あからさまに目を白黒させている。
そんな彼を横目に先生に軽く感謝の言葉を伝えれば、「Aさん」と心なしかいつもより低く聞こえる声で名前を呼ばれた。
「Aさん、ここは学校です。少しは皆さんの気持ちを汲み取って協調を図っていきましょう。寺坂君も暗殺活動に一生懸命なのは関心ですが手を出すのは頂けませんよ」
「皆さんで協力しないと最高速度マッハ２０の先生は殺せないですからねぇ」
ヌルフフと、含み笑いを漏らした先生が僕の頭に触手を置く。
だが、黄色い皮膚に縞々の緑の線が入っているところを見る限り、完全に舐め切っているという事は明白だ。
そんな先生の触手に触れようと、頭に置かれた触手にゆっくりと手を伸ばすものの、先生は僕に触れられない様にと、すっと手を引いた。
正確に言えば、僕の手に塗り込んであるナイフの欠片に触れない様にする為なんだけど。
『……殺される気はない癖に』
ぽつりと呟けば、心配という色を目に滲ませた渚と目が合った。
『あー……、渚。今から先生の弱点言うから』
「え？ あ……、うん、分かった」
少し戸惑いながらも、こくりと頷き、渚がポケットから出したのは先生の弱点メモ。
超生物が来てから三日三晩した頃に何やら作っていたのが弱点メモで、思わず笑ってしまって、その後、拗ねた渚を慰めるのが大変だった覚えがある。
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. - 千々さん» ありがとうございます！ 励みになります😌 (1月22日 8時) (
レス) id: 9fd6ec5536 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - とても面白いです！ 素敵な作品ありがとうございます！ 続きを楽しみにしています！ (1月21日 11時) (レス) @page14 id: 1d9d509371 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：. | 作成日時：2023年12月30日 20時
