過食症ーsgiー ページ25
いつからか、ストレスを食にぶつけるようになっていた。
食べて、食べて、食べて……。
ある時ぷつんと何かが切れる音がした。
｢ゔぇっ!!げぇぇ……!!｣
食べても食べても、その分だけ吐き出す。
それで体力を使い切るから、結局プラマイゼロで終わることが多かった。
そんなある日だった。
オフィスで大量に食べたい欲に駆られたのだ。
今まではその衝動が出るのは家がほとんどで､リモートワークが増えたこともあって誰にもばれずに済んでいた。
自分が異常な状態であることを頭の片隅で理解しているからこそ、オフィスでは今まで通りしか食べていなかったというのに……。
ーーどうしようもない衝動にはかなわなかった。
｢ちょっとコンビニ行ってくるけどなんかいる？｣
近くで作業していたこうちゃんに聞くと、一緒に行くと言ってついてきた。
コンビニにつくなりガサガサと手当たり次第に食べ物をカゴに入れていく。
｢須貝さんそれ全部食べるんですか！？｣
｢え、あ、まぁ……。｣
｢食べ過ぎじゃないんですか？｣
こうちゃんの心配するような視線に衝動が収まっていく。
一つ一つ戻していき、カゴの中にはほとんど何も残らなかった。
｢須貝さん、どうしたんですか？｣
言うかどうか迷って、俺は正直に話すことにした。
話し終わった頃にはオフィスに戻ってきていた。
｢須貝さん、食べたくなったら、俺に電話してくださいよ。早朝でも深夜でもいつでもいいんで。｣
真っ直ぐな目に射抜かれる。
｢……分かった。｣
こうちゃんはいつも通りの笑顔を浮かべた。
｢絶対ですよ！｣
｢分かってるよ。｣
それからは沢山食べたくなったらこうちゃんに電話をした。
俺は基本的に1日3食である事は変わらなかったから深夜や早朝に電話をかけることは無かったけど、随分とお世話になった。
約2ヶ月後、電話をかけることもほとんど無くなった頃にこうちゃんとご飯に行った。
｢こうちゃん。｣
｢はい？｣
｢ありがとう。｣
｢……いいえ。俺で力になれたなら何よりです。｣
こうちゃんはいつになく大人っぽい笑みを浮かべていた。
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辰海恋歌(プロフ) - あっさん» …なんかすみませんwピアノをモチーフにしたお話書いてみますね。(尚、いつ公開するかは不明。) (2021年10月20日 20時) (
レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)
あっ - ←ピアノの音の話かと思っていた人 (2021年10月20日 17時) (レス) @page1 id: bcfd7d0a66 (このIDを非表示/違反報告)
辰海恋歌(プロフ) - ゆいさん» ありがとうございます！！どっちも頑張ります！！ (2021年8月16日 0時) (レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 突然コメントすみません。私も学生です！再試も小説も頑張ってください！応援してます！ (2021年8月15日 20時) (レス) id: 25390fa415 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：辰海恋歌 | 作成日時：2021年5月19日 17時
