退屈な日々に【9K】

虹がかかるまでーsgー ページ36

ピアス、イヤリング、ネックレス、リング、ブレスレットにアンクレットーー。

私の恋人は、お化粧よりもそういった小物が好きな人だった。


故意なのか偶然なのかは分からないが、時折家に忘れていったり、記念日などにプレゼントしてくれたり。

そうして気づけば沢山のアクセサリーが家に取り残された。


彼女と別れた今でも、それらは大切に保管され、時折私の身体の1部となっている。

残されたアクセサリーには当然思い出が沢山あって、今でもたまに辛くなる。


でもそれ以上に、素敵なのだ。

だから捨てられず、今でも保管しているんだ。


キラリ、と1組のピアスが揺れる。

これは唯一、彼女の手作りだ。

彼女曰く、私をイメージして作った中の最高傑作らしい。

これだけは、万が一も考えて身につけることも出来ずに眠らせている。



……君が僕を好きなのに振った理由。

それはいつまで経っても見つからない。

伊沢さんを始めとする動画出演メンバーならいざ知らず、私はしがないディレクターだ。

彼女が負担になったことなんて1度もないし、寧ろ沢山の元気をもらっていた。


なのに、どうして。


雨が止んで虹が綺麗にかかるには、もう暫く時間が必要そうだった。

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