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身体が緊張でガチガチなせいで名前さえ呼べなかったが、乾くんにはヘルプの意思が伝わったらしい。
こちらに近づいてくると、裕貴さんから引き離してくれた。
｢すみません。Aさんは俺が引き取りますね。｣
突然現れた乾くんに困惑した表情を見せた裕貴さんは、すぐに静かに怒ったような顔になる。
｢彼女は今から俺の家に行くんだ。邪魔しないでもらってもいいかな？｣
｢あのっ、私はーー｣
｢彼女の了承をちゃんと取ったんですか？沈黙を了承としたとか、ましてや断られたのに無理やり連れていこうとしたとかじゃないですよね？｣
1度はちゃんと断ったので、裕貴さんは後ろめたい顔をする。
私は乾くんに庇われてばかりでは居られないとちゃんと言うために1歩前に出る。
｢私は、ちゃんと行かないと言いました。無理やり連れていこうとする人とはお店でも飲みたくありません。申し訳ないですが、帰ってください。｣
裕貴さんはそのまま黙って帰ってしまった。
姿が見えなくなってようやく安堵する。
｢はぁ……ごめんね、乾くん。助けてくれてありがとう。｣
｢あ、いや、それは全然いいんですけど、今日は飲み会かなにかだったんですか？｣
｢まぁね。合コンというものに初参加してきた。｣
乾くんはちょっとムッとした表情でため息をついた。
｢ちゃんと警戒しなきゃダメじゃないですか。というか、なんで急に合コンなんて。｣
｢んー、まぁ、友達に誘われちゃってね。ごめん、乾くんは家に帰る途中だったよね？｣
買い物袋に目をやると、乾くんはその中を漁り出した。
｢とりあえず、ちょっとぬるいとは思いますけどこれどうぞ。｣
乾くんに渡されたのはペットボトルの水。
｢ありがとう。｣
｢向こうにちっちゃい公園あるんで、そこ行きますか。｣
｢うん。｣
公園のベンチに座り、水を飲む。
元々酔っていたわけではないけど、水は美味しかった。
｢Aさん、帰りはどうするんですか？｣
｢んー、まだ電車あるし、電車で帰るよ。｣
｢分かりました。じゃあ、駅まで送ります。拒否権はないです。｣
心配してくれる様子が嬉しくて、つい笑ってしまう。
｢ふふふ、ありがとう。｣
｢いいえ。……あ。｣
｢ん？｣
｢今日、いつもより可愛いですね。｣
突然褒められてびっくりした。
｢……ありがとう。｣
｢いいえ。じゃあ、遅くなる前に行きますよ。｣
｢うん。｣
乾くんと2人きりで歩く道はなんだか新鮮だった。
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辰海恋歌(プロフ) - 朱夜さん» こんにちは。どちらも読んでいただけて嬉しいです。応援ありがとうございます。これからも楽しんでいただけますよう、尽力していきます。 (2021年5月22日 16時) (
レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)
朱夜(プロフ) - こんばんは。 アフターストーリーと新作読みました。 どれも違った感じで楽しいです。 此れからも頑張ってください。 応援してます。 (2021年5月21日 23時) (レス) id: 34fb2aaacb (このIDを非表示/違反報告)
辰海恋歌(プロフ) - 朱夜さん» コメントありがとうございます！書きます！書かせていただきます！！新作もお待ちください！！ (2021年5月18日 22時) (レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)
朱夜(プロフ) - こんにちは。 更新の度に楽しみにしてました。 もしアフターストーリーがあるのでしたら読みたいです。 新作も楽しみにしてます。 (2021年5月18日 12時) (レス) id: 34fb2aaacb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：辰海恋歌 | 作成日時：2021年4月28日 18時
