習慣 ページ39
動画制作に関わるのをやめてから、私の楽しみは勉強の休憩がてらの動画作成になっていた。
数年間の習慣というのはなかなかに抜けないらしい。
動画作成の中でも、特にやっているのは音MAD作成。
前に1度だけ偶然見たものがすごく面白くて、ついつい手を出してしまった。
実際にやってみたが、膨大な作業量と綿密な組み合わせが必要で休憩中に少しづつやるくらいが丁度よく気がつけば2本ほど作っていた。
ちなみに全てQuizKnockの動画が素材だ。
3本目は人力ボカロにも手を出している。
そんな密かな楽しみが、よりによって1番見つかりたくなかった人に見つかってしまったのだ。
その日は定例会議ついでに記事の提出をしたのだが、河村さんに提出する前の確認として見てもらった時に編集中のやつを見られてしまった。
「……A、今のは?」
あくまで何気なく聞いてくる河村さんに、私は濁しながら答えた。
「動画作成のくせが抜けなくて、ちょっと。」
「ちょっとで音MAD作ってるんだ。」
作った動画のファイル名は曲名をもじったものなのだが、それだけで音MADだとバレてしまった。
「……まぁ。」
バレてしまってはもう認めるしかない。
素直に頷くと、河村さんは徐ろに動画を開こうとした。
「ちょっ、ダメですよ!今は仕事中です!」
「分かった。じゃあ仕事終わったら鑑賞会ね。勝手に帰らず待っててね。」
「……ハイ、ワカリマシタ。」
惚れた弱みというのも、なかなか改善しないらしい。
私は小さくため息をこぼした。
仕事終わり、と言っても次の記事の題材などをゆっくり考えていただけなのだが、定時になって仕事を終えたらしい河村さんが楽しそうな顔をして近づいてきた。
「ここじゃなんだし、撮影部屋行こうか。」
「はい。」
自分のPCを持ってとぼとぼと河村さんの後ろを着いていく。
何故か、撮影部屋には伊沢くんと福良さん、山本くんと乾くんの4人も待機していた。
「なんで4人もいるんですか。」
抗議の意味も含めてそう聞くと、伊沢くんが面白そうだからと笑った。
河村さん、話したのか……。
諦めのため息をついて、渋々動画を再生する。
「「「「「……wwwwwwwwwwwww」」」」」
結果として、全員爆笑していた。
作った動画が好評だったのはいいが、如何せんほぼ自分用なので恥ずかしさがやばかった。
皆にまた見せてと言われて断りきれなかったのもきっと今までの習慣のせいだ。
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辰海恋歌(プロフ) - 朱夜さん» こんにちは。どちらも読んでいただけて嬉しいです。応援ありがとうございます。これからも楽しんでいただけますよう、尽力していきます。 (2021年5月22日 16時) (レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)
朱夜(プロフ) - こんばんは。 アフターストーリーと新作読みました。 どれも違った感じで楽しいです。 此れからも頑張ってください。 応援してます。 (2021年5月21日 23時) (レス) id: 34fb2aaacb (このIDを非表示/違反報告)
辰海恋歌(プロフ) - 朱夜さん» コメントありがとうございます!書きます!書かせていただきます!!新作もお待ちください!! (2021年5月18日 22時) (レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)
朱夜(プロフ) - こんにちは。 更新の度に楽しみにしてました。 もしアフターストーリーがあるのでしたら読みたいです。 新作も楽しみにしてます。 (2021年5月18日 12時) (レス) id: 34fb2aaacb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:辰海恋歌 | 作成日時:2021年4月28日 18時