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おにぎり ページ19

Aに横になってるように釘をさしてから部屋を出る。


「みんな仕事が一段落したらでいいんだけどさ、Aがおにぎり食べたいらしいから、みんなで握ってみない?」


今日来ているメンバーは全員Aの事が大好きな人たち。

かなりノリノリで作ってくれた。


がちゃがちゃしながら作ったせいで10分ほどかかったが、おにぎりを載せたお皿を持って仮眠室に入る。


「A、これ、みんなが握ってくれたよ。」

「え、あ、ありがとうございます。」


少し驚いているAの前にお皿を置く。


「っふふ、何これ。」


Aが笑うのも仕方ない。

お皿の上には個性豊かなおにぎりの数々。


巨大なもの、具が飛び出しているもの、形が歪なもの、ぎゅうぎゅうに固められたものなど、米を握るだけのおにぎりでよくもこれだけ個性が出せるものだと思うほどバラバラだ。


「このいかにも硬そうなのは伊沢くん?」

「そうそう。」

「1番綺麗なのはあやかちゃんかな?」

「当たり。」

「1番大きいのは須貝さん?」

「正解。」

「この具がとび出てるのは……こうちゃんかな?」

「ご名答。」

「じゃあこのちっちゃいのが山本くんだ。」

「おー、正解。」

「あとは、この形が歪なのは福良さんかな?」

「うん。」

「じゃあ、残るこれが河村さんか。」

「その通り。」


俺のはみんなの個性に埋もれてしまっている。

俺はそっと期待を寄せる。

俺のを最初に食べてくれないかな、と。


「んー、じゃあこれからいただきます。」


と、Aが最初に取ったのは1口サイズのおにぎり。山本作だ。

ぱく、と口に入れ小さく笑う。


「ふへへ、美味しいです。ご飯ってこんなに美味しかったんですね。」

「そうだよ。ご飯は美味しいんだよ。」


俺はなんだか泣きそうになって立ち上がる。


「じゃあ、食べ終わる頃にまた様子見に来るから。無理はしなくていいけど、ちゃんと食べるんだよ。」

「あ、はい、ありがとうございます。」


部屋を出て、はぁと息を吐き出す。


「A、話できそう?」


伊沢が何気なく聞いてきたので、大丈夫と言うと伊沢が1人で部屋に入っていった。

30分ほどして出てきた伊沢は、部屋に入った時と表情は変わらない。

でも、この人はポーカーフェイスが得意だから表情から察するなんて無理ゲーだ。





━━━━━━━━━━━━━━━
続く。

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辰海恋歌(プロフ) - 朱夜さん» こんにちは。どちらも読んでいただけて嬉しいです。応援ありがとうございます。これからも楽しんでいただけますよう、尽力していきます。 (2021年5月22日 16時) (レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)
朱夜(プロフ) - こんばんは。 アフターストーリーと新作読みました。 どれも違った感じで楽しいです。 此れからも頑張ってください。 応援してます。 (2021年5月21日 23時) (レス) id: 34fb2aaacb (このIDを非表示/違反報告)
辰海恋歌(プロフ) - 朱夜さん» コメントありがとうございます!書きます!書かせていただきます!!新作もお待ちください!! (2021年5月18日 22時) (レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)
朱夜(プロフ) - こんにちは。 更新の度に楽しみにしてました。 もしアフターストーリーがあるのでしたら読みたいです。 新作も楽しみにしてます。 (2021年5月18日 12時) (レス) id: 34fb2aaacb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:辰海恋歌 | 作成日時:2021年4月28日 18時

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