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お裾分け ページ15

その日の夜、家のチャイムが鳴った。

モニターには須貝さんがいた。


「須貝さん?どうしました?」

「いんや、久々に煮物作ったら作りすぎちゃってさ。よかったらもらってくれない?」


最寄り駅が一緒とはいえ、お裾分けをするような距離ではないのにわざわざ持ってきてくれたのか。

須貝さんのご飯は食べてみたい。

……けど、食欲が湧かない。

貰って捨てるくらいなら、受け取らない方がいいよね。


「ごめんなさい、須貝さん。気持ちは嬉しいんですけど……。」

「お願い、食べて。聞いたよ、もう1週間以上何も食べてないんでしょ?頼むから食べて。少しでいいから。」


須貝さんの泣きそうな声に、私は耐えきれなかった。


「分かりました……。」


鍵を開けて須貝さんを通す。

どうしよう……須貝さんに会って、大丈夫なのかな……。

そんなことをボーッと考えてるうちに須貝さんが玄関前まで来た。


ガチャ

玄関を開けると、10日ぶりくらいの須貝さんの姿に心臓が高鳴る。


「須貝さん、いらっしゃい。上がってください。」

「お邪魔します……。」


須貝さんは少しびっくりしながら家の中に入る。


「それ、温めた方がいいですか?」

「そうだね。持ってくる途中にちょっと冷えてるかも。」

「分かりました。」


須貝さんから受け取ったものをお皿に移してレンジでチンする。


「これ、どうぞ。麦茶ですけど。」


一応水分だけはどうにかとっていたので、温めた料理と一緒に麦茶を出す。


「あ、ありがとう……A、まずはごめん。突然押しかけて。それに、俺の事怖いよな。」


河村さんに聞いたのかな……。


「いいですよ。……これ、食べなきゃダメですか?」

「あんまり無理強いはしたくないけど、貴女これくらいしないと食べないでしょ。」


実際そうなので、なんとも言えない。





━━━━━━━━━━━━━━━
続く。

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辰海恋歌(プロフ) - 朱夜さん» こんにちは。どちらも読んでいただけて嬉しいです。応援ありがとうございます。これからも楽しんでいただけますよう、尽力していきます。 (2021年5月22日 16時) (レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)
朱夜(プロフ) - こんばんは。 アフターストーリーと新作読みました。 どれも違った感じで楽しいです。 此れからも頑張ってください。 応援してます。 (2021年5月21日 23時) (レス) id: 34fb2aaacb (このIDを非表示/違反報告)
辰海恋歌(プロフ) - 朱夜さん» コメントありがとうございます!書きます!書かせていただきます!!新作もお待ちください!! (2021年5月18日 22時) (レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)
朱夜(プロフ) - こんにちは。 更新の度に楽しみにしてました。 もしアフターストーリーがあるのでしたら読みたいです。 新作も楽しみにしてます。 (2021年5月18日 12時) (レス) id: 34fb2aaacb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:辰海恋歌 | 作成日時:2021年4月28日 18時

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