み る く き ゃ ら め る【短編集】〜あんスタ〜

毒 ( 羽風 薫 ) ページ10

.



今日はあのUNDEADのプロデュース｡



朔間さんに大神くんにアドくん｡



吸血鬼に狼に『肉を食え』って言ってくるアドくん｡



なんだかこの3人は動物的というか｡



そして…薫さん｡



この人は対照的に現代っ子みたい｡



女遊びだって激しいし､
なのに私に会うと凄い話し掛けて来るし｡



正直､苦手｡



まぁ苦手だとしてもプロデュースはしないといけない｡



そう思ってUNDEADが居るはずのレッスン室の扉を開ける｡



｢あ、れ…?｣



だけどそこには､薫さんしか居なかった｡



今まで薫さん以外の3人しか居なかったって事はあったけど
こんなパターンは初めてで戸惑ってしまう｡



｢あ･･･Aちゃん｣



｢…どうも｣



気まずい雰囲気が流れながらも､
なんとか薫さんに会釈をする｡



｢あの､あとの3人は?｣



｢あぁ､来ないみたいだね｣



なんとなくいつもの薫さんと雰囲気が違って､
気になった私はいつもより近付いてみた｡



｢･･･どうしたの?｣



｢いや､なんかいつもと違うなと思って｣



薫さんは私の言葉を聞くと目を少し見開き､
寂しそうに笑った｡



｢俺さ､こんなじゃん?
サボり魔だし女の子大好きだし｣



自覚あったんだ、とか失礼な事を思いつつ､
薫さんの言葉に曖昧に頷く｡



｢だから､ユニットやってて良いのかなって｡
練習とかまともに行ってない事多いのにUNDEADに居て良いのか､
アイドルやってて良いのかなって考えてたんだ､ここ最近｣



｢薫さん･･･｣



薫さんは自嘲気味に微笑むと､
な〜んてね 、と呟いた｡



｢ごめんね､こんな話して｣



｢いえ､大丈夫です｣



｢ありがとう､Aちゃん｡
Aちゃんにはきちっと話したかったんだ｣



真剣な眼差しに､ドキッとした｡



伸びてくる手を拒む事が出来なかった｡



｢･･･ごめん､少しだけ｣



薫さんに抱き締められながら､
薫さん独特の甘い匂いに1人酔いそうになっていた｡



薫さん、貴方の甘い匂いは私にとって毒なんです。



.

微熱 ( 朔間 凛月 )→←林檎 ( 大神 晃牙 )

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す