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27 黒雲 ページ27

後悔というのは、なんとも一方通行で、自分勝手なものだと思う。

所謂「弱い」所を見せぬまま、彼は練習に練習を重ねていた。キャプテンとしての責任か、それとも自己実現のためなのか。砂の舞う土の上で、日に日に唇を噛み締めているのを見る回数が増えた。

何も言わずに見ているだけなど、良心の呵責に耐えられなかった。たとえそれがエゴだと言われても、自制できるほど大人じゃない。
それくらいには、自分の中での彼の存在は大きくなっていた。

「っこれ以上は、オーバーワーク、です」

どんよりと厚い雲の下、驚きに満ちた氷のような瞳が鋭さを増して、私に突き刺さる。

言ってしまった、と思った。

「……ただのマネに、何が分かんねん」

ガンと何か硬いもので頭を殴られたような、衝撃。グラウンドを通り抜ける湿った空気が、耳元で嫌な風切り音を立てた。

今にも雫を垂れそうな雲は、あっという間に黒くなっていく。

「……っじゃあ、もういいです」

「貴方のため」なんていうのは、完全にただのエゴだ。なのに、大人になりきれない私は、言葉を吐き捨てた彼に怒りと悲しみを感じていた。自らを正当化して、自分は間違っていないのだと、僅かな後悔を胸にしまった。


──もう知らない。

まるで子供のように、彼に背を向けた。


ポタリポタリと、黒い雲から雫が落ち始めていた。

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作品ジャンル:恋愛
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ぴざる2号(プロフ) - 泣いた…好き… (2021年4月2日 8時) (レス) id: fa56edbecd (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 『夢小説』やなくて『小説』読んでるみたいな感じになるし、ストーリーは面白いし、作者さんええ人やし…この小説の大ファンになりました(単純) (2019年10月30日 15時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
aaaa(プロフ) - もうなんか今のこのもどかしさが喉の奥に詰まって泣きそうなくらいにこの作品好きです。応援してます。 (2019年8月7日 0時) (レス) id: 6511620324 (このIDを非表示/違反報告)
Souha - キャーknサンイケメーン((( 内容と作者様の書き方が好きです。!もう…なんかやばすぎました。 あと、更新頑張って下さい!もうこれは全裸待機ですね!! (2019年7月18日 21時) (レス) id: 60f9fe5ef6 (このIDを非表示/違反報告)
usikosan(プロフ) - しゅきやわ (2019年6月8日 14時) (レス) id: a7c2ae121f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年2月12日 18時

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