20 細やかな贈り物 ページ20
「え、明日コネシマ先輩の誕生日、ですか？」
うん、と頷いた先輩マネさん。
話を聞けば、この部の風習で部員の誕生日は全員で昼休みに祝うのが通例らしい。
……なるほど、全員でプレゼントを一纏めにして渡すのか。
なんだか楽しそうだなと顔を綻ばせながらも、彼の欲しいものなんて知るはずが無い事に気付く。
「先輩達は、毎年何をあげてるんですか？」
「うーん…男子は変なおもちゃとかネタに走るんだけど、大抵はお菓子かな」
どうやら大層な物をあげる訳では無いらしい。とりあえず、今日の部活帰りはデパートにでも行くか、と髪を括り部活の開始を待った。
＊＊＊
「今日は、ちょっと寄る所があって。なので、ここで失礼します」
学校を出てすぐの十字路で、そう言って足を止めれば、先輩は訝しげに眉を顰めた。
「どこ行くん？もう暗いし……なんならそこまで行くで」
送ってくれるという言葉は素直に嬉しくて密かに心躍るが、生憎、理由と場所を伝える訳にはいかない。先輩の誕生日プレゼントを買いに行きます、なんて言ってしまったら興醒めも甚だしいだろう。
「…いえ、本当に大丈夫なので…！また明日」
返答も聞かずくるりと背を向けると、 じゃあな、といつもよりも幾らか低い声が届く。折角の好意を無駄にしてしまった気がするが、今日だけは仕方ないと肩を落とした。
煌びやかなショーウィンドウを横目に、この辺りでは一番大きなショッピングモールに足を踏み入れる。エスカレーターに乗り真っ先に向かったのは、スポーツブランドショップ。流石に立ち並ぶTシャツやアンダーウェアを渡す気にはならず、リストバンドなどの小物の棚の前に立った。
「何色が好きなのかも知らないな…」
頭を悩ませていると、ふと隣に人の気配を感じる。ちらりと視線を向ければ、見覚えのある赤髪を捉えた。
「Aちゃんやん！こんなとこで会うとは」
先輩、と口にする前に明るい声が届く。先輩マネさんに軽薄と称されただけはある赤髪の副部長さんが、にんまりと笑みを浮かべていた。
「何でこの店？Aちゃんの好きそうなもん無さそうやけど」
「えっと、誕生日プレゼント探してて」
すると、何かに気付いたように彼はあぁ、と頷いた。
「シッマのね〜。でも偉いね、他の人はみんな菓子とかやのに」
「……お世話になってるので」
ふうんと心中を探るような赤い瞳と、ニヤニヤと上がる口元。何も言葉を発さないのが逆に不気味で、思わず棚に視線を戻した。
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ぴざる2号(プロフ) - 泣いた…好き… (2021年4月2日 8時) (
レス) id: fa56edbecd (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 『夢小説』やなくて『小説』読んでるみたいな感じになるし、ストーリーは面白いし、作者さんええ人やし…この小説の大ファンになりました（単純） (2019年10月30日 15時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
aaaa(プロフ) - もうなんか今のこのもどかしさが喉の奥に詰まって泣きそうなくらいにこの作品好きです。応援してます。 (2019年8月7日 0時) (レス) id: 6511620324 (このIDを非表示/違反報告)
Souha - ｷｬｰknサンｲｹﾒｰﾝ((( 内容と作者様の書き方が好きです。！もう…なんかやばすぎました。 あと、更新頑張って下さい！もうこれは全裸待機ですね！！ (2019年7月18日 21時) (レス) id: 60f9fe5ef6 (このIDを非表示/違反報告)
usikosan(プロフ) - しゅきやわ (2019年6月8日 14時) (レス) id: a7c2ae121f (このIDを非表示/違反報告)
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