1 春うらら ページ1
始まりの四月。
カーテンから差し込んだ眩しい春の陽光が、穏やかな朝を告げた。目を閉じたままいつものロックバンドの曲が鳴っているスマホを引っ張って、親指を滑らせアラームを止める。いつもならここで再び微睡みに落ちてしまうが、前日にいつもよりも早くベッドに入ったお陰だろうか、珍しくスッキリと目を覚ます事が出来た。
時間に余裕があるとはなんとも素敵なもので、ゆっくりと朝ごはんを口にして、ぼんやりとテレビの占いを眺めていると、友達できるかなあなんて一抹の不安は少しずつ薄れていく気もした。
「学校、楽しみだね」
洗濯物をたたんでいる母がのんびりと言った言葉に、そうだねと何も考えずに言葉を返す。すると、母は何かを思い出したように口を開いた。
「ここの学校、サッカー部が強いらしいよ？」
……サッカー、ねえ。
「…そうなんだ」
正直、あまり興味は無い。
昔から野球の方が好きだもんね、と小さく笑みを溢して、母は再び洗濯物をたたみ始めた。
ウインナーの最後の一個を口に放り込み、ごちそうさまでしたと手を合わせる。
そして、壁に掛けてあったブレザーの制服を手にとった。新品の制服に身を包み、胸のリボンを結ぶと、自然と身も心も引き締まるようで、よしと小さく息をつく。
「…あんた、スカートのしつけ糸、取っておいてって言ったでしょ」
母の低い声にハッとしてチェック柄のスカートの裾を見ると、白い糸が付いたまま。
……しまった、すっかり忘れていた。
まだ時間はある、大丈夫と自分に言い聞かせながら、悠長にハサミで糸をぷつりと切っていると、わざとらしい大きな溜息が背後から届いた。
壊れたロボットのように恐る恐る振り向く。にこりと笑い時計を指差す母を視界の端に捉えると、思わず背筋が凍るようで、ヒィと声にならない声が出た。
「やばい、時間…！」
先程の優雅な朝はどこへいったのだろうか。
いつもの倍の時間を掛けてセットした前髪を気にしている余裕も無く、全力で学校へと走った。
そんな高校一年生、一日目の朝。
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ぴざる2号(プロフ) - 泣いた…好き… (2021年4月2日 8時) (
レス) id: fa56edbecd (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 『夢小説』やなくて『小説』読んでるみたいな感じになるし、ストーリーは面白いし、作者さんええ人やし…この小説の大ファンになりました（単純） (2019年10月30日 15時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
aaaa(プロフ) - もうなんか今のこのもどかしさが喉の奥に詰まって泣きそうなくらいにこの作品好きです。応援してます。 (2019年8月7日 0時) (レス) id: 6511620324 (このIDを非表示/違反報告)
Souha - ｷｬｰknサンｲｹﾒｰﾝ((( 内容と作者様の書き方が好きです。！もう…なんかやばすぎました。 あと、更新頑張って下さい！もうこれは全裸待機ですね！！ (2019年7月18日 21時) (レス) id: 60f9fe5ef6 (このIDを非表示/違反報告)
usikosan(プロフ) - しゅきやわ (2019年6月8日 14時) (レス) id: a7c2ae121f (このIDを非表示/違反報告)
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