24 まるで ページ24
ゾムさんは終始無言だった。しかも早歩きであるから、歩幅の違う私は着いて行くのに精一杯。……顔も見ることが出来ない程に。
階段を登りゾムさんの部屋に入った所で、やっと疑問を口にする。
「ゾムさん、どうしたんですか」
「ん？あぁ、どうやったらほどほどにできるかなって考えとった」
成る程、さっきのミルザさんの言葉か、と考えられる位には私は何故か落ち着いていた。
──これから起こることも知らないで。
___
空気の冷たさに目を覚ますと何も纏っていない体が真っ先に目に入った。同じベッドでこれまた同じ姿で眠りについているのはゾムさん。脱ぎ散らかった服が昨夜の事を想起させ、顔に熱が集まる。朝はまだ少し肌寒くて申し訳程度に掛けられていた布を引き寄せた。その感覚に目が覚めたのだろうか、ゾムさんが身を攀じる。寝顔は案外子供っぽいんだなと眺めていると、パチっと開かれた瞳と目があった。
「……おはようございます」
「はよ。……今何時」
掠れた声が酷く色っぽく、思わず固まってしまっていた。慌てて部屋の隅の置き時計を見る。
「五時半ちょっと過ぎですね」
「まだ外暗いやん」
再び目を閉じる彼。再び静寂に包まれて頭に浮かぶのはやはり昨日の事ばかり。
長いキスなんて勿論初めてで息が苦しい。酸素が足りなくなりゾムさんの胸を叩けば、スッと離れる唇。そしてまたニコリとしたかと思えば、再びアップになる顔。その間ずっと私の髪を梳かすように撫でるゾムさんの指が心地良く段々と息苦しさが快感に変わり力が抜ける。
「初めての割にはええやん」
そのまま立っていた体を横抱きにしてベッドに運ばれる。
あとは言うまでもない。
結論から言えばゾムさんは死ぬ程優しかった。結局私は彼にドロドロに溶かされてしまったのだ。溶かしてくれたと言った方が正しいのかもしれない。
「…やっぱ寝られへんわ」
下だけ服を着ていたゾムさんはキッチンの方へ歩いていく。昨日はそれどころじゃなかったがやはりミフターフ最大の脅威、鍛え上げられた身体は目に毒だ。暫くして戻ってきたゾムさんは、マグカップを二つ持っていた。私がやるべき事をやらせてしまった。慌ててベッドを降りようとすると、声で制される。
「ええって。それよりも身体痛ないか、まだ動かん方がええで」
コーヒーのほろ苦い香りとともに向けられる優しい目線。そしてゾムさんが私の髪を結んでくれた。初日の悪戯小僧のような人は何処へ行ったのだろう。
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あん(プロフ) - 不如帰さん» ありがとうございます！某歌劇団、大好きでございます。その作品に、衣装など結構特に影響受けております…！引き続きよろしくお願い致します。 (2019年8月15日 23時) (
レス) id: eef50a65da (このIDを非表示/違反報告)
不如帰(プロフ) - 初コメ失礼いたします、とても素敵なお話に思わず引き込まれてしまいました…！！某歌劇団の中にこんな雰囲気の劇があって、もしやご存知！？なんて思いながら世界観に浸らせていただいております。2と3の公開も楽しみにしています、乱文失礼いたしました。 (2019年8月15日 23時) (レス) id: 0ebc123a21 (このIDを非表示/違反報告)
理香(プロフ) - 初コメ失礼します、別作品の方も愛読してます、そこでこちらの作品が読みたくなりきました。また�供↓靴諒�が近日公開と聞いてとても楽しみです！前に最後まで読みましたが、また読めるのが嬉しいです！公開待ってます。長文、乱文失礼しました。 (2019年8月15日 19時) (レス) id: 1bf6bc5ed8 (このIDを非表示/違反報告)
桜狼■坂田家(プロフ) - あんさん» 了解です！公開されるまでお待ちしてます。頑張ってください！ (2019年8月15日 17時) (レス) id: 4178eea38c (このIDを非表示/違反報告)
あん(プロフ) - 桜狼■坂田家さん» すみません、2と3はまだ編集途中で、意図的に鍵をかけています。近日中には公開致しますので今暫くお待ち頂けると幸いです。 (2019年8月15日 17時) (レス) id: 2a14f29560 (このIDを非表示/違反報告)
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