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夕日に二人の男女が溶けてゆく。シャオロンをおいて。シャオロンは必死に手を伸ばした。しかし彼等は振り返りもせず消えてしまった。
「……ひとりは、嫌や」
その後ろ姿をシャオロンは間違えようがなかった。彼等は両親だったのだから。幼いときの記憶だった。ふと思い出しては、その度シャオロンに重くのしかかる。黄昏種として生きていけばいくほど、それは鮮明になっていった。
「おいシャオロン、こんなとこで何してんの」
「なあ、お前らは俺を捨てたりせえへんよな？」
「はあ？何言ってるんだ急に」
「捨てへん、って言うてや」
「なんかおかしいぞお前？きもちわりー。じゃあな」
待ってと伸ばした掌が震えていることに気付いた。たかが黄昏種の仲間に何を固執しているのかと、自分で自分を笑い飛ばせたらよかった。
そしてひとりを怖がったが故に、シャオロンはひとりになった。気味が悪いと後ろ指をさされ始めたのだ。
「こんなところで死ぬんか、俺。……やっぱりひとりは嫌や」
真っ赤に染まる足はもう動けそうにない。シャオロンは諦めて路地裏の上に覗く空を見上げた。ふと気付けば煙のように男が立っていた。遙か高くに見えた空と同じ色の瞳をして、無表情でシャオロンを見つめていた。
「ひとりは、嫌だって？」
「なんや、聞いとったんか。お前もタグ付きか。でも組合の奴じゃないな」
「ひとりにならんように、人はコミュニティを作りたがるっちゅうのが俺の持論やねんけど。お前も一緒に作る？」
「は？」
「コミュニティ」
聞いてもいないのにぺらぺらと喋り出した男にシャオロンは困惑を隠せなかった。男の足元まで伸びる流血を意にも介さず、男は血溜まりを踏んでシャオロンの前にしゃがんだ。
「ひとりが嫌なら俺らんとこ来ればええやん」
「はは、なんやそれ。お前が誰かも知らんねんで、こっちは」
「──なんやコネシマ、また拾いもんか？」
「グルッペン」
かたりと乾いた革靴の音が届く。目の前の男より幾らか細身だったが、その男は威厳を感じさせるオーラを纏い、シャオロンを見下ろした。一目でこのタグ付きの主人だとシャオロンは理解した。
「人材不足言うてたやん。丁度ええやろ」
「死にかけてないかこいつ」
「ロボロがなんとかするやろ、うん」
「え、は？」
鈍い金髪を揺らしシャオロンは担がれる。そこからの意識は曖昧だ。気付けばマフィアなるものに所属して、心地良いと思える空間に何年も身を置いていたのだ。後悔はしていなかった。
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あん(プロフ) - Alexさん» コメントありがとうございます。引き続き楽しんでいただけたらと思います。 (2020年6月29日 9時) (
レス) id: 8ef2d7e6a5 (このIDを非表示/違反報告)
Alex(プロフ) - とても面白かったです！！更新引き続きお待ちしております！ (2020年6月28日 17時) (レス) id: 68d9b196e6 (このIDを非表示/違反報告)
あん(プロフ) - かわっちかわっちさん» コメントありがとうございます。今後も引き続きお楽しみいただけたら嬉しいです。 (2020年6月26日 6時) (レス) id: 8ef2d7e6a5 (このIDを非表示/違反報告)
かわっちかわっち(プロフ) - 初コメ失礼します！お気に入りさせていただきました。投稿無理せず頑張って下さい！ (2020年6月24日 20時) (レス) id: d677453767 (このIDを非表示/違反報告)
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