織「太宰、よせ」 ページ37
フッ、と一瞬で雰囲気を変える太宰さん。
太「織田作、気をつけろ。
今事態は、君のコップのふちからこぼれ落ちるぎりぎりの所にある。
何か一つでも新たな事態が投げ込まれれば、水はコップからぶちまけられ、君ひとりの手には負えなくなってしまう。
ここの始末は私達がやっておくよ。安吾を頼む」
織「ああ」
太宰さんがまた、私の頭をぽふり、と撫でる。
それから裏道の方へと歩き出そうとした。…のだが、
気付いてしまった。
……あの、襲撃者起きてません?
小、織「太宰/さん!」
襲撃者が拳銃を構えるのと、私たちが叫んだのは同時だった。
「動クナ…」
どうしよう、そう言われると動きたくなる。
襲撃者の銃口は、見事に太宰さんに向いている。
この距離なら、織田作が撃つより先に太宰さんが撃たれるだろう。
太「おやおや。
あれだけ撃たれて立ち上がるなんて、驚異的な精神力だね」
片方はお陀仏している。
だが、もう一人は太宰さんを道連れにする事を選んだらしい。
馬鹿だなぁこの人。
織「太宰、じっとしてろ。俺が何とかする」
織田作がそろそろと拳銃に指を伸ばす。
一瞬の時間があれば、相手は太宰さんを道連れに出来る。
銃口が完全に太宰さんに向けられてるから、もし織田作が相手の心臓ぶち抜いても、その衝撃でトリガーが引かれて太宰さんがお陀仏。
要はタイミングが問題というわけだ。
太「君達の組織の名はミミックだ。そうだろう?
…答えを期待しちゃあいない。実際のところ、私は君達を敬畏しているのだよ。
これほど真正面からマフィアにぶつかってくる組織はなかった。そして私のすぐ目の前に、これほど殺.意ある銃口を向ける事に成功した者も居なかった」
織「太宰、よせ」
『ちょ、太宰さん…』
軽い足取りで向かっていく太宰さん。
太「私の目の中の感激が君にも見えることを願うよ。
君が指をほんの少し曲げるだけで、私が待ち焦がれたものが訪れる。
私の唯一の懼れは、君が狙いを外すことだ」
ああもう、挑発しやがって。
太「狙うべきは心臓か頭。お勧めは頭だ。
だが君なら出来るさ。君は狙撃手だろう?
頰のところに狙撃銃を構えていた跡がついてる。観測手じゃない」
確かに何かの跡がある。
襲撃者の指は震えている。
撃てる弾は一発なんだろうな。
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炎帝閣下& 狼陛下の花嫁 - 最初から読まして頂いています とても面白いです いよいよ黒の時代への突入ですね これが終わると夢主ちゃんは元の世界の元の時間(トリップした時の)に戻ってくるのでしょうか 続き楽しみにしています 更新頑張って下さい (2018年5月10日 20時) (レス) id: c831905666 (このIDを非表示/違反報告)
双黒の片割れ - 何時も楽しく読ませて頂いてます!一作目が消えてしまったのはとても残念ですが、応援しています!体調にお気をつけて頑張って下さい! (2018年5月4日 21時) (レス) id: 01d6929d60 (このIDを非表示/違反報告)
chikaze(プロフ) - 初コメ失礼します。この小説大好きで、初めのやつから読んでました!もうすぐ終わると思うと淋しいですね…。現代でも書いて欲s殴 これからも更新頑張って下さいね! (2018年3月12日 21時) (レス) id: 16cd7bec21 (このIDを非表示/違反報告)
初音アン(プロフ) - 漆黒の天使 鬼気さん» ネタバレになるので死ぬかまでは言えませんが、誰か死ぬのは確かです。…大丈夫ですよ、ほら、織田作が死ぬとは言ってませんよ!← (2018年3月12日 0時) (レス) id: 4dae88a644 (このIDを非表示/違反報告)
漆黒の天使 鬼気 - あの、織田作は、死んでしまうのですか?いや、この小説は大好きなので読みにはくるのですが、そうだったら悲しいなぁ……って。 (2018年3月12日 0時) (レス) id: 354c62b094 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:初音アン | 作者ホームページ:http://twitter.com/hakureiaria5
作成日時:2018年1月29日 23時