強い決意 ページ10
コンコンっととある一室の真っ白な扉がノックされる。
しかし、中からは返事はなく…それを待たずにガラッと扉が開かれた。
手の中にはアレンジメントされたピンク色のガーベラの花々咲き誇っている。
春らしく、とても美しい程のアレンジメントされた花々を
開かれた扉から中へと入った少女は近くの棚へと置き、
清潔感を感じさせる真っ白なベッドの隣に置かれた椅子へ腰を下ろす。
｢今日ね、入学式だったんだよ…貴方の行きたがってた雷門中の。
でね、私……サッカー部に入ったの、と言っても正式に…じゃないけどね。
けど絶対は入れると思う。マネージャー希望だから特に何もないと思うし。｣
優しげな声音で話しかける少女は眉尻を少し下げ優しく笑う。
が、それも束の間…少女はすぐに表情を一変させた。
酷く歪んだ笑みを口元に浮かべ笑う少女はベッドで横たわる少年の手に自身の手を重ねる。
｢やっと、やっとサッカーを潰すことが出来るんだ。
貴方が…優也が大嫌いなサッカーを。
もう貴方を傷付けないように確実に消し去って見せるから…ッ！｣
だから、安心して…と両手で少年の手を掴みあげ額に当てる。
だが、そこまでされてもベッドの上の少年は動かない。
それ所か固く閉じられた瞼が開く様子もない。
窓から差し込む夕日の光が少年のピンクブラウンの髪を照らし、
とても綺麗な色合いを生み出す。
その髪をそっと優しく撫で部屋を出る。
すると、丁度目の前に看護師の服に身を包んだ女性が立っていた。
｢こんにちは、優衣ちゃん。今日、入学式だったのよね？｣
｢こんにちは冬花さん。はい、雷門中の…｣
"雷門中"という単語を出すと冬花は微かに目を見開きそして懐かしげに笑った。
｢優衣ちゃんもなのね…私も中学生の頃は雷門中だったの。
あ、そうだ、部活は何に入るの？｣
｢サッカー部…です。｣ ｢ふふっ、私と一緒だ。でも、優衣ちゃんは………｣
彼女の背にある扉の横に設けられたプレートを一瞥する。
真っ白なプレートには黒い文字で"月詠優也"と書かれていた。
優衣も同じくそれを見ると真っ直ぐ青紫の様な冬花の瞳を見つめ宣言する。
｢私はやめませんよ。冬花さんが何を言おうとサッカーが好きだろうと…｣
それじゃあ、とそれだけ告げると一礼し少女は去って行く。
｢優衣ちゃん……優也くんはそんな事きっと望んでない。
早く気付けるといいね。｣
去っていく彼女の背を見つめ悲しげに微笑んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 57人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サーヤ丸 | 作成日時：2019年1月2日 11時
