【イナGO】偽りシード (ページ7)

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入部希望の新入生ページ7

校舎と同じく大きなイナズママークがモチーフにされたサッカー棟。

そんなサッカー棟のミーティングルームでは、
今朝の騒動により次々と抜けてしまう部員達の残りの選手達と

入部希望の新入生である、松風天馬と西園信助が集まっていた。

先程出て行ったばかりの部員達の事でどんよりとしてしまったミーティングルーム。

と、その時…ウィーンと自動ドアの開く音がし、入って来たのは

顧問である音無春奈と監督の久遠道也だった。

更に、その後ろには1人の少女が立っている。

黒く艶やかな髪をお下げにし赤いフレームの眼鏡をかけた少女…優衣だ。

｢残っているのはこれだけ？｣

少々、驚き気味にそう尋ねた春奈にキャプテンである神童は

辛そうな顔を微かに俯けつつはい、と頷いた。

｢俺の力不足です。｣

悔しそうに唇を噛み締める神童に眉尻を下げ心配そうな表情を見せる優衣だったが、

すぐに顔を俯かせ口角を吊り上げ気味の悪い笑みを浮かべた。

さっきまでの心配そうな顔はどこへやら…酷く歪み今の状況を楽しんでいる様に見えた。

｢みんな、不満があるのは分かる。だから、辞めるというのなら仕方ない。｣

ふっと息を吐き悔しそうに顰めた顔をすぐに戻した神童だが

まだ悔しさは拭えてないのだろう…ぐっと力のこもった拳が微かに震えていた。

すると、突然神童はすっと顔を上げ入部希望者である天馬と信助に顔を向ける。

｢松風天馬…だったか？今朝はありがとう。折角頑張ってくれたが、これが今のサッカー部だ。｣

今の最悪な現状を知らしめるようにそう言って悲しげに微笑む。

しかし、それに天馬はそれでもいいです！と身を乗り出し即答した。

｢俺、サッカー部に入ります！｣
｢僕もサッカー部に入ります！お願いします！｣

天馬の宣言に続け、隣の信助も身を乗り出し"サッカー部に入る"と宣言する。

2人の目は真剣で真っ直ぐで…これから先の事が楽しみで仕方ない、

サッカー部に入って楽しいサッカーをするのが楽しみでしかないという程輝いていた。

それを見ていた優衣は顔を歪め唇を噛み締める。

｢(あぁ、気持ち悪い。どうせ何も知らない癖に…
フィフスセクター相手に何かができるってわけじゃないのに……ッ！

イライラするよ、そーいうの。さっさと潰したくなっちゃうじゃん。)｣

辺りを凍らしてしまいそうな程の冷めた視線が目線の先の2人を睨み付けた。