【イナGO】偽りシード (ページ11)

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張り切りページ11

校舎中にチャイムの音が鳴り響く、休み時間。

それぞれ、お弁当を用意し屋上へ行く者や教室で喋りながら食べる者…

そんな中で優衣は友達の誘いを断り教室を出る。

暫く人が行き交う廊下を進み、とある掲示板に貼られた紙が目に入った。

｢(あぁ、そー言えば今日は入部テストか…ま、どうせあの一件のせいで
天馬達を含めても4、5人程度なんだろーけどね。

でも、人が多いと動きにくいし丁度いいや。)｣

フッと口角を吊り上げ側にあった階段を上ろうとした時…それを止める様に
後ろから｢優衣！｣と声をかけられた。

唐突な事に肩をビクッと揺らしつつゆっくり振り向くといたのは天馬、信助、葵の3人だった。

きっと、呼んだのは葵なのだろう。

｢ここにいたんだ！教室に行ったんだけど居なくて…
優衣が良かったら一緒にサッカー見ない？あ、2人のだよ！｣

そう言って海面の様に煌めく青色の瞳をするりと後ろの2人へ向ける。

一瞬、2人からの視線を受け戸惑った天馬だが

｢良ければ！｣なんて大事そうに持ったボールを彼女へ突き出す。

優衣は暫く考え階段へ向けていた体を3人に向けるとにっこり笑う。

｢いいの？だったらご一緒させてもらおうかな。2人のサッカーも見てみたかったし！｣

彼女の返答に葵は嬉しそうに口元に笑みを浮かべると

早速、という様に優衣の手を引き階段を降りていく。

葵の意気揚々とした光景に天満と信助の2人は慌ててあとを追った。

芝生のはえたグラウンドにポーンっと言う小さな音が響く。

サッカーボールが空に浮かび、だがすぐに天馬の足へと転がった。

｢すごい張り切ってるね。｣
｢うん、張り切ってるよね〜！｣

パス練をする信助と天馬を微笑みながら眺める葵と優衣がそんな短い会話をしていると

そこに新しく…2年生である、瀬戸水鳥が葵の隣に並び目線を天馬へ向ける。

｢いいよな、アイツ。
見かけ頼りなさそうなのにここに熱いもん持ってる。｣

親指で自分の左胸を差し、褒めてるのか貶しているののかよく分からない言葉を告げた。

きっと彼女の中では最大の褒め言葉なのだろう。

｢(熱いもん、ね……そんなのすぐに冷え切って壊れるさ。

いや、私が壊してやる。心身共々ズタボロに引き裂いて
二度とあんな笑顔を浮かべれない様に！)｣

彼の絶望に満ちた顔を想像するだけで笑いが止まらない、という風に少女は気味悪く笑った。