【イナGO】偽りシード (ページ2)

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無残な光景ページ2

桜舞う季節、春＿＿＿サッカー名門校である雷門中にて…

大きな黄色のイナズママークがモチーフとされた雷門中の校舎には

新入生や元からの生徒達が第2グラウンドに集まっていた。

そこでは日柄も良く清々しい程晴れやかな天気には似つかぬ光景が広がっていた。

だが、勿論誰も助ける人はおらず…ただその光景を眺めているだけだった。

｢剣城もほんと、よくやるね…｣

その様子を見ていた少女は木陰で1人、ぽつりと呟く。

目の前で繰り広げられる無残な光景に怯えることも無く…さも当たり前とでも言うかの様に
眺める少女は目線の先の少年、剣城京介からサッと目を離す。

彼女の瞳に映ったのは彼の必殺技…"デスソード"を止めた少年が立っている姿。

いや、止めただけではなくボールを奪っていたのだ。

｢ふ〜ん。あの子もう少しで化身使えるのに…勿体無い。
ま、私には関係ないか……

サッカーなんて必要ない。管理されちゃえばいいんだよ。｣

どうせそうなる運命さ、と嘲笑う様な笑を浮かべた少女はぐっと伸びをする。

そして、身をひるがえしその場を去ろうとした瞬間＿＿＿＿＿

グラウンド中に大きな、それでいて凛としたとても綺麗な声が響いた。

｢お前達、サッカー部の神聖なグラウンドで何を騒いでいる！｣

男の子にしては少し長く緩くウェーブのかかった灰色っぽい髪に整った顔立ち。

茶色の瞳には微かな炎が灯りその瞳でグラウンドの2人を見つめる彼は

自身の事を雷門中サッカー部キャプテン、"神童拓人"と名乗り

後に集まった選手達を"雷門イレブン"と告げた。

サッカー強豪校となってしまった雷門サッカー部には勿論、入部希望者が多いだろう。

その為に、サッカー部ではファーストチーム、セカンドチーム…と分けられていた。

そして、今まさに…本命であろうファーストチームの選手達が姿を現したのだ。

｢あんたの狙いはコイツらね…まぁ、精々頑張るといい。

私は適当に媚び売りでもしてよーっと。
剣城みたいに本性バラすのも楽でいいけど、点数稼ぎは大事だからね。｣

頭の後ろで手を組むと、彼女は今度こそと言うようにグラウンドへ背を向ける。

と、その瞬間………

振り向きざま、何かを示すかの様にグラウンドの剣城と目が合い

それに答えるように少女は冷め、見ているだけで凍りそうな瞳をすっと細め

ふふっと何処か楽しげな様子で口元に不敵な笑みを浮かべて微笑んだ。