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不手際で髪を燃やされてしまった2 ページ3

腰よりも長い髪がチリチリと燃え、焦りに焦った結果氷魔術で短剣を作り髪を掴むとバッサリ切ってしまった。肩程まで短くなった艶やかに靡く髪が炎と一緒に燃えて行く、あっ不味い…流石に切り過ぎた。そっと手を伸ばせば熱い炎に手が離れ短剣が溶けて蒸発した。イフリートが離れて、エイト先生がこちらへ走って来る。そして私の姿にこれでもかと目を見開いて驚きサァ…と血の気が引いて行った。

「か、髪…」
「あぁ…燃え広がる前に切ってしまって」
「えっ、はっ?切…???」
「先ずは助けて頂いてありがとうございます、イフリート先生」
「あっ…いや、えっ?」

ワタワタと私以上に戸惑っているのが何だか面白くて小さく笑ってしまう。狼狽えて顔を青から赤く染まる頬に百面相するエイト先生はこちらを見下ろして地面へ跪いた。ゆらりと揺れ煌びやかな炎を纏う尻尾がピンと伸びていた、私は理解が追い付かず首を傾げ私と変わらない目線のエイト先生を見つめたのだ。

「Aさん」

そう言えば、エイト先生は私の名前を知っているんだよね…彼は入学当初からイフリートの末裔として有名悪魔(ゆうめいじん)だったし、一応首席で頭は悪くなかった私の事を知らない訳ではないだろうけれどただの元同級生である。勿論クラスは違ったし、イベントや師団も話し掛けられた記憶もない。

エイト先生は轟々と燃える美しい翼をはためかせて空を翔る姿をいつも遠くから眺めていた。運動神経が凄まじく抜群でいつも周りの中心にいるような悪魔(ひと)と、生真面目で学生時代は親しい相手も居らず…一族の事もあり誰かと遊ぶ事もなく過ごして来た根暗な私の事何て知らないと思っていたのに。未だ煮え切らない態度で口をもごもごさせるエイト先生に、そろそろ気まずくなり癖で短くなった横髪を触れて耳の後ろへ掛けた。

「……責任を取ります」
「責任、とは?」
「髪は、女の命と言えるでしょうし…」
「でも切ったのは私ですよ」
「いや、そもそも僕が燃やしたのが原因ですし」
「わざとではないのは分かりますので。それに1年……2、3年?程待てばまた伸びるはずですから」

バビルスの教師であり悪魔位階(7)のエイト先生に跪かせているのは居心地が悪い。何故なら私は(6)だし勉強以外はからきしだから、尚更強くて臨機応変に対応する密かに憧れていた彼に謝られるのはとても気が引ける。兎に角頭を上げて下さい、簡単に下の位階悪魔に頭を下げないで欲しいと何とか伝えお願いした。

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ゆいゆい - 最近イフリート先生にハマったのですが、めちゃくちゃ好みでした!!!更新楽しみにしています!!!頑張ってください!!応援してます!! (8月29日 5時) (レス) @page11 id: 40519882e3 (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 次の更新を楽しみにしてます! (2023年4月19日 13時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 続きを楽しみにしてます (2023年4月13日 6時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - めちゃめちゃに好きです!続き楽しみにしてます! (2023年4月2日 23時) (レス) id: 98936ec3a4 (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 次の 話しを楽しみにしてます! (2023年3月18日 20時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蒼空 | 作成日時:2023年3月10日 19時

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