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一通りの通過儀礼も終えて、さぁ明日から全人学級だと身構えていた所、
取り敢えずは和貴園に通う様にとの連絡があった。

どうやら想定よりも早い卒業だったらしく、全人学級側の体制が整っていないらしかった。

残念に思う反面、少しほっとした気持ちもあった。

皆と離れるのはやっぱり心細かったし、和貴園の行事もまだ残っていたからだ。

その後、妙法農場の見学や海への遠足などのメイン行事を一通り終えた頃、
突然明日から全人学級へ登校するようにとの指示があった。

どうせまた直ぐに全人学級で会えるから、と皆への別れもそこそこに、私は和貴園を卒業した。

□■□■□■□■□■

翌朝、緊張して震える手で教室ドアを開けた私は拍子抜けした。

「瞬!」

「やあ、A。」

瞬の話によると、先週祝霊が来たと言うことだった。

瞬の祝霊も例年に比べたらかなり早い時期だったが、流石に2人も卒業した以上、全人学級の授業を開始せざるを得ないという判断になったらしい。

私と瞬の関係は、仲良しグループの中でも特別なものだったと思う。
もちろん早希や覚とも中がよかったが、
グループの中でもお互いに認めあっている存在だったと思う。
例えば私が困ったことがあれば、誰よりも瞬を頼りにして意見を求めたと思うし、逆に瞬もそうだったと思う。私と瞬はそんな関係だった。

その後、私達の担任に当たる遠藤先生という人が教室に入ってきて、諸説明をした。

「…注意事項と説明は以上です…が、
今年はたまたま呪力の強い君達が早い段階で卒業したので、他の生徒が入学してくるまで、2人に特別授業をすることになりました。
もうすぐ講師の先生がこられると思います。」

タイミングを見計らったように、教室のドアがガラリと開いた。

長身で、男性にしてはほっそりとした体系。ふわりと香る優しい香り。
そして、何より頭部の大半をおおった被り物。

彼は私の方を見ると、小さな驚きの表情の後、微笑を浮かべた。

私は直感で、鏑木肆星さんは、私の事を覚えていてくれたんだと確信した。
人口が少ないとはいえ、3000人近くいる中で私の事を覚えていてくれたことが嬉しくて、思わず頬が緩んだ。

「…鏑木肆星だ。
ここ10年で君達程の呪力を持つ者は現れていなかった。
そこで、前例のないことではあるが、私が直接指導を行うことになった。
他の生徒が入学してくるまでの短期間だが、よろしく頼む。」

鏑木肆星さんは二人しかいない教室を見回して言った。

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- 初コメ失礼します。私は鏑木さんが大好ぶt… 大好きなのでうれしいです。続きを楽しみにしています。 (2021年6月16日 18時) (レス) id: da1440f3b3 (このIDを非表示/違反報告)
珊瑚 - 最近碧さんの書かれるこのお話を知りました。新世界よりの夢小説はなかなか珍しいので続き楽しみに待ってます。 (2020年1月27日 22時) (レス) id: 98e28c3fa5 (このIDを非表示/違反報告)
- LiLi様 コメントありがとうございます!! 先は長いですがゆっくり進めていこうと思ってますので、気長に待ってて下さい(´▽`) (2019年8月31日 9時) (レス) id: 79787a8d8f (このIDを非表示/違反報告)
LiLi(プロフ) - 新世界より、わたしはアニメにどハマりしました!!!すごく嬉しいです!更新待ってます応援してます(*゚∀゚*) (2019年8月30日 1時) (レス) id: 844718911f (このIDを非表示/違反報告)
- かなと様 ご指摘ありがとうございます。不注意でした…フラグ外しました。 (2019年8月24日 20時) (レス) id: 5ef3e2de9e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年8月24日 19時

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