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テントを張り、夕食を終えると、守の発案でナイトカヌーをすることになった。
クジの結果、守と真理亜、早希と瞬のペアでナイトカヌーをすることになり、私と覚が留守番することになった。
「ちぇっ。留守番かよー」
「そんなこと言わないで…灯台の役目も大切よ??」
私と覚は4人を見送って焚き火の周りに腰掛けた。
「それにしても、早希と瞬、嬉しそうな顔しちゃってさー」
覚はがやれやれと、首をすくめた。
「へー!覚が気づいてたなんて以外!」
「あんなにあからさまだったら誰でも気づくだろ。守るのと真理亜もわかりやすいしなー。
…そういえばAはそういうのないの??」
「…うーん。」
真っ先に思い浮かんだのは、肆星さんの顔だった。
今でも会いたいと思うし、また名前を呼んで欲しいと思う自分がいる。
けれど、肆星さんと私は年齢も離れすぎているし、だいたい肆星さんの素顔も見たことがないので、この気持ちが何なのかはよく分からなかった。
「私にはまだ、早いかな??」
迷った末に答えると、覚は安心したようにため息をついた。
「だよな、俺にもそういうのは早いわ。留守番役がAと2人で良かったよ…」
そして、私達は2人で顔を見合わせて笑った。
□■□■□■□■□■
夏季キャンプ2日目、霞ヶ浦の奥まで進んだ私達は、
偶然にも悪魔のミノシロの捕獲に成功した。
それが、私達の当たり前の日常を根底から覆す真実を秘めているとも知らずに…
「…まさ、か、」
ミノシロの言葉に絶句する私達。
悪鬼と業魔は実在する病気であること。
1000年にも及ぶ血塗られた歴史。
悪鬼と業魔を防ぐ為に、何重にも重ねられた防護策。
排除される子供達。
私達の質問は止まらなかった。
その返答が、私達を絶望の底に突き落とすものだと分かっているにも関わらず…
その時、突如悪魔のミノシロが激しく燃え上がった。
同時に、鋭い声が背後から聞こえた。
「お前達、ここで何をしている!」
振り向くとそこには、背の高い僧形の人物が仁王立ちしていた。
その人物は離塵と名乗ると、私達に弁明の余地も与えずに、呪力を凍結してしまった。
先程まで私の心の中にあったマントラはいつの間にか消え去り、どうやっても思い出せなくなってしまった。
呪力という神の力を失った私達は抵抗することも出来ず、
離塵の後についてとぼとぼと歩き出した。
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銀 - 初コメ失礼します。私は鏑木さんが大好ぶt… 大好きなのでうれしいです。続きを楽しみにしています。 (2021年6月16日 18時) (レス) id: da1440f3b3 (このIDを非表示/違反報告)
珊瑚 - 最近碧さんの書かれるこのお話を知りました。新世界よりの夢小説はなかなか珍しいので続き楽しみに待ってます。 (2020年1月27日 22時) (レス) id: 98e28c3fa5 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - LiLi様 コメントありがとうございます!! 先は長いですがゆっくり進めていこうと思ってますので、気長に待ってて下さい(´▽`) (2019年8月31日 9時) (レス) id: 79787a8d8f (このIDを非表示/違反報告)
LiLi(プロフ) - 新世界より、わたしはアニメにどハマりしました!!!すごく嬉しいです!更新待ってます応援してます(*゚∀゚*) (2019年8月30日 1時) (レス) id: 844718911f (このIDを非表示/違反報告)
碧 - かなと様 ご指摘ありがとうございます。不注意でした…フラグ外しました。 (2019年8月24日 20時) (レス) id: 5ef3e2de9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:碧 | 作成日時:2019年8月24日 19時