4話 ページ6
4月下旬。
校舎裏のひっそりした所に、玲音は呼び出されていた。
今時ベタな方法で、下駄箱に手紙。
差出人は不明。
何か考えるように玲音が空を見上げている。
「……ご、ごめん……っ! 」
遅くなって、と続けながら女の子が玲音の前に姿を現した。
栗色の髪の毛を少し巻いていて、化粧も少し。
ギャルみたいな見た目だが、言動は清楚みたいだ。
顔を赤く染めて、女の子は玲音に向き直る。
「……あの、玲音君のことが……好き、です。……付き合って、くれませんか? 」
「……悪ぃ、無理。」
女の子が頭を下げる。
玲音は、申し訳なさそうな顔でそう告げた。
「……で、すよね。……玲音君には司君が、いるもんね。」
「待て待て、何の話だそりゃ。」
泣きそうな顔でそう呟く女の子。
「……? 柚希君が『アイツ等、司がぞっこんに見えて本当は玲音がぞっこんなんだから意味わかんねぇよなぁ。』ってこの前。」
「OK。ちょっとごめん、俺アイツ殺らないといけないんだわ。」
ｷｮﾄﾝ,とした顔の女の子に別れを告げ玲音は柚希の元に向かう。
1発殴ろう、と言わんばかりに手をｷﾞｭｯと握りしめて。
柚希side
穏やかな春の日差し。
読書には丁度良いな、なんて思いながら俺は本を開く。
玲音は今女に呼び出されたし、司は玲音いないなら……と他の男子とつるんでいる。
……アイツ等の関係性は俺にも良く分からない。
司は玲音大好き。
これは間違いない。
問題は玲音だ。
「……柚希ー! 」
本の内容が頭に入らなくなった頃、クラスの入り口から俺を呼ぶ声。
俺が顔をあげる前に「ぐぇ!? 」と蛙が潰れたような声が耳に届く。
「……何? 」
ﾊﾟﾀ、と本を閉じて入り口に向かう。
そこには床に倒れる玲音と、玲音の首に腕を回す司の姿。
玲音の顔は耳まで真っ赤に染まっており、司には尻尾と耳が見える。
「……司、どーどー。離れて。玲音……何か用? 」
「ﾊｯ,そうだ。……お前、俺が司にぞっこんって広めてるのか? 」
聞かれるとまずいと思ったのだろう。
声を落として玲音が聞く。
俺はｺｸ,と頷いた。
「ホントじゃん。」
「は、違うし! 」
「じゃあ何で付き合わないの? 」
「……付き合っ……たら……司とつるむ奴がいなくなる、し……。」
ぞっこんじゃねぇか。
続く (更新停止中)
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kanade - 更新頑張ってください！ (2020年5月12日 22時) (
レス) id: a0f0bf9343 (このIDを非表示/違反報告)
黒星 - 更新頑張って下さい!続きが気になります! (2019年6月9日 16時) (レス) id: a851782061 (このIDを非表示/違反報告)
来瀬 - 続きがすっごい気になります!更新頑張って下さい！ (2019年3月15日 17時) (レス) id: 8fe2495ae6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜鸞 | 作成日時：2019年2月27日 23時
