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side.rtrt

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「なんですか?」

『え、いや』






俺の視線が気になったのか、落ちてきた髪を中指でかけながら問う。






『上手くいくといいねって。思っただけやで』





綺麗な黒髪にみとれた、なんて言えるはずもなく咄嗟にでた言葉。

…言ったら流石に変態やろ、これは。






「うーん。でも全然私の好意に気付いてなさそうです」

『まあ願い事書いたし、上手くいくやろ』






俺自身は恋愛らしい恋愛をしてこなかった為、アドバイスも何も出来ない。

だから自信を持ってもらうしか、俺に出来ることは無い。






『自信持ちや』

「…はい!頑張ります!」





そう言うと、小走りでスタッフルームへ向かっていった。




…可愛いし、彼氏くらいすぐできるやろ




俺もそろそろ帰ろうと思い、笹を片付け外に出た。






『…あれ?まだ帰ってへんの?』

「あ、お疲れ様です」






俺より早く出たはずの彼女が、ドア付近で誰かを待つように立っていた。






『さっき言ってた好きな人と一緒に帰るん?』

「…まあ、そんなとこですね」






案外上手く言ってるやん、と内心そう思い俺のアドバイスも必要なかったなと思った。






『暗いしあんま遅くならんようにな、お疲れさん』

「…」

『…ん?どした?』






急に俯いて黙る彼女。



…さっきまで元気そうやったのにどうした?

もしかして俺なんか変なこと言ったか…?


俺の発言を思い返してる時に、彼女が先に口を開く。





「あ、あの、」

『うん?』

「わ、わわ、」

『ちょ、大丈夫?一旦落ち着き?』





彼女が茹でダコみたいに顔を真っ赤にさせて、言葉を詰まらせている。


深呼吸して、少し落ち着くと再び話し始める。






「先輩、と一緒に、か、帰れたらなぁ…なんて」






…お、俺?


一瞬、理解ができなかった。

これから一緒に帰る人は、彼女の好きな人であって…



…え?ほんまに?




心の中で自問自答が繰り返される。






『Aちゃんの好きな人って…』

「い、言わせないでくださいよ!」






恥ずかしがっている彼女をみて、本当だと確信した。


…俺、彼女が言ってた通り、今まで全く気付いてなかったんやけど…






「私、先輩と両思いになれるように頑張るので…!」






そう言う彼女とやっと目が合う。






『…うん、自信持ちや』

「…!はい!」






そう言うと、どこか嬉しそうな彼女と歩き出す。




願い事、ちゃんと叶えたるよ。


酔い心地に委ねて【ky】→←願い事、叶えたる【rtrt】



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作品ジャンル:恋愛
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古舘(プロフ) - 蛍さん» 読んでいただき有難うございます、感想も頂けて嬉しいです*。 (2022年9月13日 22時) (レス) id: 2c80c0e490 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - レトさ?のお話辛いもの9割でツラツラなんですが、話の作りや文章の工夫がすごくて読む手が止まりません!ありがとうございますm(_ _)m (2022年5月30日 19時) (レス) @page42 id: 4b8bfd7105 (このIDを非表示/違反報告)
古舘(プロフ) - とまとさん» 主人公の「」とレトルトの『。』の中を、PCであれば左クリックしながらなぞって頂くか、スマホであれば長押しして「」の中を検索にかけて頂くと…*°お手数お掛けしますが、こちらをお試し下さい! (2021年8月14日 15時) (レス) id: 6d4dc67ed0 (このIDを非表示/違反報告)
とまと - すいません最後のレトくんのお話の『。』の意味がわからないんですけどどういうことですか? (2021年8月14日 15時) (レス) id: 6d36e78e24 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:古舘 | 作成日時:2021年7月6日 1時

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