星今宵.願いを込めて..【短編集】

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side.you


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高校卒業して、彼とは会う頻度は少なくなったけど連絡はずっと取り合っていた。


今日は数ヶ月ぶりに会う約束ができたから、オシャレもメイクもばっちり。


…だけど天候は良くなかった。


前髪崩れないかな、とか洋服汚れないかな、とか色んな心配をしながら歩く。






“『楽しみにしといてや』






そんな彼からの通知を見て、頬が緩む。







｢レトルトくんも楽しみにしててね〜｣






ちょっと早いけど、もうすぐ彼の誕生日だからプレゼントも用意して集合場所へ向かう。


教師を目指す彼だから、お高いボールペン。
こういうのがあれば、モチベーションにも繋がるかなぁって。





それと、もうひとつは私が彼に使って欲しいなぁって物。


去年の誕生日にもプレゼントしたんだけど、今回は少しだけ違う種類。


完全に私の好みになっちゃって、レトルトくんが好きか分からないけど使ってくれると嬉しいなぁ。






少し歩いたところの横断歩道を渡り、角を曲がれば彼に会える。





本当に会えるのが嬉しくて仕方がなくて。

プレゼントを渡したらどんな反応をしてくれるのか、楽しみで仕方がなくて。





歩くのも早くなるほど、レトルトくんに今すぐ会いたい。







ピコン、と彼からのメッセージが届く。








“『渡したいもん、ある』







私の視界は彼からのメッセージ。

私の思考は彼の事ばかり。






渡したいものってなんだろう、本当に、楽しみだなぁ。






…指輪だったりして？


って、まだ早いか









ふふ、大好きだなぁ、レトルトくん。









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大 好 き な 彼 の 事 を 思 い な が ら 渡 っ た は ず の 横 断 歩 道 に 、





彼 に 渡 す は ず だ っ た 甘 っ た る い 香 り が 、

ふ わ り と 漂 っ た 。




｢ 行けなくてごめんね…ずっと、愛してるよ。レトルトくん ｣









赤 い 光 の 人 影 が 、


私 を 見 下 ろ し て い た 。









『 A、俺はずっと、忘れへんよ。ずっと、愛してる 。 』







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