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side.you

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「…ここだ」





鳥居をくぐると空気が変わる。

いつもお供え物をした後、必ずこの神社にきて御参りをした。


夏でも涼しくて、大きな木に囲まれてこの場所が好きだったのを覚えている。



五円玉をお賽銭箱にそっと入れ、鈴を鳴らし手を合わせた。






___

__

_




『やべ、五円玉忘れた…』

「えー!なにしてんのー!…取り戻る?」

『Aここで待ってて』



_

__

___





そんなこともあったなぁ。

五円玉を取りに家に向かった彼。どこか座るとこないかなぁと思って周りを見渡し、石でできたベンチに座って待った。

でも全然帰ってこなくて泣きじゃくった。



結局、彼が戻ってきたのに私が木に隠れたベンチに座っていたからお互いに何処にいるか気付かなかった。



「ふふ、懐かしい…」



今となっては笑い話。あの頃本当に怖かった。




あのベンチまだあるかなぁ、と以前より生い茂った木に近づく。


ひょいっと木の裏をみる。





「うわぁっ!」

『…ん…』




まさか人がいるとは。石のベンチに座り、寝ていた男性。





「ごめんなさい、起こしちゃいました…?」

『…いや、大丈夫です。やべ、こんな時間だ…』





目を擦りながら、白くて細い手首に巻かれた腕時計をみる。


…あれ?この人って…



指先を見れば、長い指に綺麗な形の爪。

何度もみた耳の形。


自分でも驚く程に、彼の特徴を覚えていた。





『……』




視線を感じ、パッと顔をみれば不思議そうにこちらをみる。

だが、直ぐに彼のその表情は変わり何かを確信したかのように目を見開いた。





『…A?』





私の名前を呼ぶ彼。

その呼び方、絶対そうだよね。




「……キヨ、くん」




私が彼の名前を呼べば、ほころぶ笑顔。





『…久しぶりだな』

「うん、まさか会えるとは…」




お互い少し気恥ずかしいのか、目を合わせたり逸らしたり。



座りなよ、とキヨはベンチをぽんぽんと叩く。

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設定タグ:キヨ , レトルト , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛
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古舘(プロフ) - 蛍さん» 読んでいただき有難うございます、感想も頂けて嬉しいです*。 (2022年9月13日 22時) (レス) id: 2c80c0e490 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - レトさ?のお話辛いもの9割でツラツラなんですが、話の作りや文章の工夫がすごくて読む手が止まりません!ありがとうございますm(_ _)m (2022年5月30日 19時) (レス) @page42 id: 4b8bfd7105 (このIDを非表示/違反報告)
古舘(プロフ) - とまとさん» 主人公の「」とレトルトの『。』の中を、PCであれば左クリックしながらなぞって頂くか、スマホであれば長押しして「」の中を検索にかけて頂くと…*°お手数お掛けしますが、こちらをお試し下さい! (2021年8月14日 15時) (レス) id: 6d4dc67ed0 (このIDを非表示/違反報告)
とまと - すいません最後のレトくんのお話の『。』の意味がわからないんですけどどういうことですか? (2021年8月14日 15時) (レス) id: 6d36e78e24 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:古舘 | 作成日時:2021年7月6日 1時

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