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side.you
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さっき目を凝らし、確認しかけた看板は、文字化けで駅名の解読が不可能だった。
そして、先程まで霧だったはずが大雨に変わり、すぐ近くでは音のしない雷も落ちていた。
「…ここはどこなの…」
『…』
私の呟きを黙って聞いてる男性。
すると、ベンチに座りはじめる。
『こんなこと言うのはあれやけどさ』
「…はい」
『多分、もう死んでるで』
「…っ」
薄々勘づいていた。
この駅の雰囲気。不可解な出来事。
「なんで、私が…」
現実では起こらないことばかり目の前で起きれば、そう思うのも不思議ではないだろう。
…じゃあこの人も死んでる?
男性に目線を向けた。
『俺はもう諦めた、戻ろうなんて』
「諦めた…?」
『そら、戻れるなら戻りたいやん。
友達もおったし家族もおるし。ある程度幸せな人生歩んでたんやから』
この人は、長い間この世界にいるのだろうか。
『何しても、何処に行っても、ここに辿り着く。
…もう俺の居場所はここなんやなって。
きっと死んでもうてるから、戻れないんやなって』
この空間に慣れてしまったら、終わり。
冷静に淡々と話すこの男性をみて、そう思った。
「…探しましょ」
『…え?』
「戻る方法、探しましょ」
私は諦めたくない。絶対何かあるはず。
この人も一緒に、元の世界に戻りたい。
『…何言うてんの、無理やって』
「2人いれば、何か出来るはずです」
『今来たばかりのあんたに、この世界の何が分かるんや』
「…でも!____」
______ドンッ
男性が急に立ち上がったと思えば、視界がぐにゃりと歪む。
…突き飛ばされ、た?
消えた線路の闇に突き落とされた。
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古舘(プロフ) - 蛍さん» 読んでいただき有難うございます、感想も頂けて嬉しいです*。 (2022年9月13日 22時) (レス) id: 2c80c0e490 (このIDを非表示/違反報告)
蛍(プロフ) - レトさ?のお話辛いもの9割でツラツラなんですが、話の作りや文章の工夫がすごくて読む手が止まりません!ありがとうございますm(_ _)m (2022年5月30日 19時) (レス) @page42 id: 4b8bfd7105 (このIDを非表示/違反報告)
古舘(プロフ) - とまとさん» 主人公の「」とレトルトの『。』の中を、PCであれば左クリックしながらなぞって頂くか、スマホであれば長押しして「」の中を検索にかけて頂くと…*°お手数お掛けしますが、こちらをお試し下さい! (2021年8月14日 15時) (レス) id: 6d4dc67ed0 (このIDを非表示/違反報告)
とまと - すいません最後のレトくんのお話の『。』の意味がわからないんですけどどういうことですか? (2021年8月14日 15時) (レス) id: 6d36e78e24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:古舘 | 作成日時:2021年7月6日 1時