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「それがさぁ、なんか浮気されてんのかなーって」
話を聞いてれば、同棲している彼氏が最近帰ってくるのが遅い、携帯を肩身離さず持っている、素っ気なくなったとか。
「だって夜もご無沙汰なんだよ?会話も減ったし」
『うーん…倦怠期とかじゃないん?』
「違う、乗り越えたもん」
俺からすると、もっと決定的な証拠がないと浮気してるとは思えんけどなぁ…
「あとはあれかな…匂い」
『匂い?』
「遅く帰ってきた日、彼とは違う人の匂いがする」
そう言うAは声色は変えないものの、顔の表情は暗い。
きっと、これがAにとって1番の証拠なんやろうな。
「今日だってさ、連絡が全然つかなくて。返信来たと思ったら友達の家行くって…絶対嘘だよ…」
段々声が震え、目に涙を浮かべるA。
…だからこんな遅い時間やったんか
『大丈夫か?よしよし、辛いなぁ?』
「…辛い…うぅ…」
背中をさすると溢れ出す涙。ずっと溜め込んできたんやろな。
「今日…ここ泊まってい…?」
『えっ』
と、泊まる?
…いや時間的に何となくそうなるんじゃないかと思っていたけど。
Aの潤んだ瞳にみつめられると、断れなかった。
『…ま、そやな』
「ほんとに?いいの?」
『おん、帰りたないんやろ?』
ここまで話を聞いておいて、1人で帰らせる訳には行かなかった。
「ありがと」
少し笑って、缶に入ったチューハイを飲み干すと、メイクを落とすため洗面所へ向かった。
その間に寝室の片付けをして、Aが寝れるように準備をする。
俺に会うだけでもメイクしてさ。
お酒もおつまみも用意して、そういう気遣いができるのは昔からやったなぁ、なんて考えてるとAを苦しませる彼氏をぶん殴ってやりたい。
『あ、流石に寝巻きは持ってきてないやろ?全然これ着てへんやつやから着る?』
「いいのー?お言葉に甘えます」
ドアを少し開けて渡し、リビングへ戻った。
「すっぴんだからあんま見ないでね」
『大丈夫やって』
顔を手で少し隠し、少し大きめな俺のTシャツを着たAがリビングへ戻ってきた。
Aの手を取り寝室へ案内する。
『俺あっちで寝るから』
「え、いいよ私ソファーで寝るよ?」
『首痛なるし、遠慮せんでええって』
半ば強引に寝室に入れて、自分はリビングにあるソファーに寝っ転がった。
念の為だが、俺が変な気起こさないように。
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古舘(プロフ) - 蛍さん» 読んでいただき有難うございます、感想も頂けて嬉しいです*。 (2022年9月13日 22時) (レス) id: 2c80c0e490 (このIDを非表示/違反報告)
蛍(プロフ) - レトさ?のお話辛いもの9割でツラツラなんですが、話の作りや文章の工夫がすごくて読む手が止まりません!ありがとうございますm(_ _)m (2022年5月30日 19時) (レス) @page42 id: 4b8bfd7105 (このIDを非表示/違反報告)
古舘(プロフ) - とまとさん» 主人公の「」とレトルトの『。』の中を、PCであれば左クリックしながらなぞって頂くか、スマホであれば長押しして「」の中を検索にかけて頂くと…*°お手数お掛けしますが、こちらをお試し下さい! (2021年8月14日 15時) (レス) id: 6d4dc67ed0 (このIDを非表示/違反報告)
とまと - すいません最後のレトくんのお話の『。』の意味がわからないんですけどどういうことですか? (2021年8月14日 15時) (レス) id: 6d36e78e24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:古舘 | 作成日時:2021年7月6日 1時