星今宵.願いを込めて..【短編集】

俺以外忘れちゃえば？【rtrt】 ページ19

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普段はお酒を飲まないが、なんとなく飲む気になって冷蔵庫から缶ビールを取り出す。


カシュッ


一人暮らしにしては広めの部屋に響いた缶ビールを開ける音。



その後に機械音が鳴り響く。




『…もしもし？』

｢あ、レトくん？｣




声の主は、高校時代からの付き合いのAだった。




『どしたん？』

｢ちょっと今日も愚痴聞いて欲しいなーって｣




Aから電話がかかってくるのは珍しいことではなかった。




『友達おらんのか？』

｢いるよ！｣




そういう話は女友達の方が盛り上がりそうやけど？と毎回思うのだが、いつも楽しそうに話すAの声を聞けば、すんなり受け入れてしまう。

なんなら、この着信音を待ってる自分もいる。





『で？今日は何があったん？』

｢あー…えっと、今日は電話じゃなくてさ｣

『ん？』

｢会って話せる？｣





会って話すなんて、高校生以来だった。





『ええけどもう俺車出せへんよ？』

｢お酒飲んじゃった？｣

『そ』

｢じゃあ私そっち行くわ｣




え？家？今から？


車出せない理由で諦めてもらおうと思ったが、
そう簡単には上手くいかない。


場所教えて、とスマホからAの声が聞こえ、とりあえず場所を伝えた。




｢案外近いじゃん、じゃあ今から行くねー｣

『え、ほんまに来んの？』



〜♪



俺の問いかけが届く前に切られてしまった。



…いくらなんでも急すぎやって。


今はもう夜23時前。

なんとなくもうこの時間帯だし来ないかも、と思っていたが、インターホンが鳴った。




｢わあ！久しぶりー！｣



…ガチやん。それに元気やし、メイクバッチリやし。


数年ぶりに会ったAの姿は変わっていた。
暗いピンクに染まった髪は巻かれ、指輪やネックレスをつけている。




Aを中に入れると、手に持っていたビニール袋からお酒やおつまみを出していく。

俺の分もきちんとあって。




『こんなに買ったん？おつまみくらいあるからええのに』

｢話聞いてもらうからさ〜。今日は長いよ？｣





早速乾杯をし、チューハイを飲み始めたA。





『彼氏に会うわけでもないんやからすっぴんでええんちゃうの？』

｢よくないのー。てか今日の話はそれ｣

『どれ？』

｢彼氏の話ー｣




あぁ、ここ2年くらい付き合ってる彼氏の話ね

彼氏が出来た、って報告されたときは世界一いらん報告やと思った。

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