星今宵.願いを込めて..【短編集】

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side.you

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『Aちゃん、ちょっと心配やな』

｢え？どういう事ですか？｣



さっきまで楽しげに話していた彼は、急に表情は暗くなった。




『ほら、警戒心とけるのが早かったろ？そこら辺の人間に騙されんようにな？』




その言葉からか、彼との間隔を少し空けた。


もし、この人が不審者だとしたら？

ここまで話してしまった私は、彼がとんでもない人だとしても、抵抗できない。逃げられないと思った。


もしかしたら 殺 されるかも。


急にその思考になってしまい、冷や汗が止まらなくなった。




｢…あの、わ、私___｣





帰ります、そう言おうとしたが遮られた。




『俺なぁ、人間に裏切られたんや』

｢…へ？｣




間抜けな声が出てしまった。

人間に裏切られた？
…もしかしてこれが私に聞いて欲しかったこと？




『あ、ほんまに何もせんから安心してや！今怖がってたやろ！』





本当に何もしないんだ、この人。

あ、でもここで騙されちゃダメなんだ…

あれ？でもそれはこの人が言ってたことで…



どんどん混乱していく私は頭を抱えてしまった。




『おもろいな、Aちゃん。』

｢大丈夫ですよね…？信じて｣

『当たり前や。…てか何もしないんやなくて、何もできないんやし』




何もできない？

その彼の言葉に疑問を持つ。
でもその疑問を抱えたまま、彼に話のペースを持っていかれてしまった。



『あぁそやそや、裏切られた話、最後まで聞いてや？』



さっき小雨になったはずの雨が、どんどん強さを増してくる。

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