怪雨【rtrt】 ページ13
side.you
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“貴方はなんで__んでしまったの?”
“…雨に、____されたからや”
“雨に?”
“そ。だから雨の日にしか出てこれん”
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仕事が終わり、暗い夜道を歩いてるとかなりの雨なのに傘をささない男性が、何もせず1人で突っ立っていた。
何か怖いな、なんて思いながらも横を通り過ぎる。
だが、少し経ってから違和感を感じる。
あれ、まって……
『ねね、そこのお嬢ちゃん』
振り返ると、まあまあ歩いたはずなのに、すぐそこにいる不気味なお兄さんに声を掛けられた。
怖くて逃げようと思っても、足がすくんで思うように動けない。
『…怖い?…俺の事…』
さっきとは打って変わってか細い声で、呟く。
私の表情で、怖がっているのが伝わったのだろうか。
『…まあ、当たり前や……無理もない…』
ブツブツと1人でなにか呟く男性。雨音のせいで聞き取りにくい。
「…あの、大丈夫ですか…?」
何故か話してしまった。大丈夫なはずがない。でも何処か、可哀想と思ってしまった。
『ちょっとでええから、俺の話聞いてや』
お願い、と手を合わせるもんだから、仕方なく承諾してしまった。
普通なら、断るしなんなら無視。
だけど放っておけない何かが私を引き止めた。
「…取り敢えず、中入ります?」
『ええの?!』
流石に私だけ傘さすのは気まずいので、中に入れる。
私より身長が高いため、傘を持つ腕をいつもより上げて歩く。
『そんなんしなくても平気やって』
そう言うけど、頭に当たっちゃうし……
結局腕をあげっぱなしでいたのでめちゃくちゃ疲れる。
最初は怖かったけど、何故か“怖い人”ではないと認識した。傘もささずに突っ立ってたから変な人ではあるけど。
『あ、ここは?ええんちゃう?』
着いたのは公園。ベンチの上には屋根があり雨をしのげそうだった。
そこに座るとすぐに話し始める男性。
『ごめんなぁ、こんな日に声掛けてしもて』
「いえ、別に…」
『あ、名前は?』
方言からして関西人なのだろう。だからかグイグイ心の距離を詰められる。
『Aちゃんかぁ!いい名前やね』
にこっと笑うその顔は、男性なのに凄く癒された。
あれ、この人本当に悪い人じゃない。
『…まだ怖い?』
「いえ、全然。もう警戒心はとけました」
『ほんまに?嬉しいなぁ』
嬉しそうな表情の彼と話していくうちに、段々と小雨になってきた。
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古舘(プロフ) - 蛍さん» 読んでいただき有難うございます、感想も頂けて嬉しいです*。 (2022年9月13日 22時) (レス) id: 2c80c0e490 (このIDを非表示/違反報告)
蛍(プロフ) - レトさ?のお話辛いもの9割でツラツラなんですが、話の作りや文章の工夫がすごくて読む手が止まりません!ありがとうございますm(_ _)m (2022年5月30日 19時) (レス) @page42 id: 4b8bfd7105 (このIDを非表示/違反報告)
古舘(プロフ) - とまとさん» 主人公の「」とレトルトの『。』の中を、PCであれば左クリックしながらなぞって頂くか、スマホであれば長押しして「」の中を検索にかけて頂くと…*°お手数お掛けしますが、こちらをお試し下さい! (2021年8月14日 15時) (レス) id: 6d4dc67ed0 (このIDを非表示/違反報告)
とまと - すいません最後のレトくんのお話の『。』の意味がわからないんですけどどういうことですか? (2021年8月14日 15時) (レス) id: 6d36e78e24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:古舘 | 作成日時:2021年7月6日 1時